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サイトのチャットボットをGPT-Liveで作り直したら、音声で答える「AIアシスタント」になった|API公開翌日にCodexへ依頼、4日後に本番切替までの全記録

貝出康

代表取締役

貝出康

サイトのチャットボットをGPT-Liveで作り直したら、音声で答える「AIアシスタント」になった|API公開翌日にCodexへ依頼、4日後に本番切替までの全記録

「ChatGPT LiveがAPIで使えるようになったそうですが、自社の資料を入れて、音声でやり取りするアプリは作れますか?」

2026年9月11日の午前11時17分。私がCodexに送った質問はこれだけです。OpenAIがGPT-Live-1をAPIで公開したのは、その前日の9月10日(米国時間)でした。

それから4日後の9月14日。株式会社カンマンの公式サイトの右下にあったチャットボットは、文字でも音声でも答える「AIアシスタント」に置き換わっていました。マイクのボタンを押して「生成AI研修について教えて」と話すと、声で返事が返ってきて、根拠にした公式ページのリンクが画面に並びます。運用しているのは月額3,520円のVPSが1台。私はコードを1行も書いていません。 ウェブ制作会社の代表ではありますが、プログラムは書けない、正真正銘の非エンジニアです。

前回の記事では、Codexに2行の指示を送って3Dバイクレースゲームを作った話を書きました。今回は「遊び」から「自社の業務」に踏み込んだ話です。しかも、公開した瞬間から社員のチェックが入り、担当者からピクセル単位の修正依頼が飛んできました。AIエージェントに実務のツールを作らせると、何が起きて、どこで人が手を動かすのか。Codexの作業ログの時刻と、社内のやり取りをそのまま使って全部書きます。

実物は今も動いています。カンマンのトップページを開いて、右下の「AIに相談する」を押してみてください。

このページの目次

何を作ったのか:文字でも音声でも答える問い合わせ窓口

まず、今の公式サイトで動いているものを見てもらいます。

2026年9月15日のカンマン公式サイトのトップページ。右下に緑の「AIに相談する」ボタンがあり、「音声・チャットで気軽に質問」とマイクのアイコンが付いている

2026年9月15日のカンマン公式サイトのトップページです。右下に緑の「AIに相談する」ボタンが出ています。「音声・チャットで気軽に質問」という小さな案内が付いていて、マイクのアイコンが目印です。

公式サイトで「AIに相談する」を押して開いたカンマンAIアシスタントの会話パネル。挨拶、質問候補3つ、「音声で相談する」ボタン、文字の入力欄、「担当者に連絡を依頼」ボタンが並ぶ

ボタンを押すと、この会話パネルが開きます。上に挨拶と質問候補が3つ。下に「音声で相談する」の大きなボタンと、文字を打つ入力欄。いちばん下に「担当者に連絡を依頼」があって、押すとカンマンの公式お問い合わせフォームが別タブで開きます。

できることを整理すると、こうです。

  • 文字で質問:カンマンの公式サイトの内容を根拠に、2〜4文で答える。答えの下に参照したページのリンクを出す
  • 音声で質問:マイクを許可して話すと、AIが声で答える。字幕も同時に表示。1回の通話は120秒で終了処理に入る
  • 人への引き継ぎ:個別の見積りや契約の話になったら、公式フォームへ案内する。会話の内容を勝手に送ることはしない
  • 管理画面:社員がGoogle Workspaceのアカウントでログインして、振る舞い・ナレッジ・APIキー・利用ログを管理する

ここまでなら「よくあるチャットボットに音声が付いただけでしょ」と思うかもしれません。私も最初はそう思っていました。でも、作る過程で分かったんです。音声で答える窓口を「止まらずに」「勝手なことを言わずに」動かすには、チャットボットとは別の設計が要る、ということが。

きっかけ:APIが公開された翌日に「作れますか?」と聞いた

GPT-Liveとは何か

GPT-Liveは、OpenAIが2026年7月8日にChatGPTの音声機能として出した新世代の音声モデルです。特徴は「全二重(フルデュプレックス)」と呼ばれる仕組みで、聞きながら話せること。人間の会話みたいに「うんうん」と相づちを入れたり、話の途中で割り込まれても止まらずに対応したりできます。

もう1つの特徴が「委任(delegation)」です。GPT-Live自身は会話の進行に集中して、資料の検索や深い推論は裏側の別のモデルに任せる。会話が途切れないまま、裏で調べ物が進む構造です。

これが2026年9月10日(米国時間)にAPIとして開発者に公開されました。モデル名は gpt-live-1。料金は音声セッション1分あたり0.05米ドル、秒単位の課金です(2026年9月15日時点、OpenAI公式料金表による)。裏側で使う回答生成モデルの料金は別にかかります。

私はこのニュースを見て、すぐ思いました。「これ、自社のデータを入れて、音声で答える窓口にできるんじゃないか」と。

最初の指示と、Codexの返答

Codexのデスクトップアプリに送った最初の質問がこれです。

  • 私の最初の質問(2026年9月11日 11:17):「ChatGPT Live が API で使えるようになったということなんですが、例えば Gemini Notebook に入れたノートブックにその GPT Live を接続して、簡単に自社あるいはその関係のデータを投入して、それに対する回答を GPT Live でやり取りするみたいなアプリは制作できますか?」

中で動いていたモデルは GPT-6 Astra、推論の深さは xhigh です。Codexの作業ログにモデル名と設定が記録されていて、この記事の時刻や回数はすべてそのログから取っています。

Codexの返答は「作れます。ただし1点、確認が要ります」でした。私が「Gemini Notebookに入れたノートブックにつなぐ」と言ったことについて、既存のノートブックに質問して回答を取り出す公開APIは、公式資料では確認できないと指摘してきたんです。そして代わりに、「Gemini Notebookに入れているのと同じ元資料を検索できる音声アプリ」を作る案を出してきました。

これ、地味にえらいと思いませんか。私の思い込みをそのまま実装せずに、公式資料を見て「ここは無理です、こうしましょう」と言ってくる。前回のゲームのときも感じましたが、Codexは「できません」を言える。ここが仕事で使えるかどうかの分かれ目です。

「この案で試作を進めてください」と返したのが11時25分。8分で方針が決まりました。

1日で試作ができた。そして音声のバグを3つ見つけた

12時13分、最初の質問から1時間足らずで、最初の試作のURLが届きました。名前は「Knowledge Live」。資料を登録して、その内容について音声か文字で質問できる1人用のアプリです。回答の根拠になった資料名と該当箇所を画面に出す。架空の社内資料14件が入っていて、22種類の声から選べて、それぞれ日本語のサンプル音声を試聴できる。自動テストは46件。私が「Google Driveと連携できたら、ChatworkとかSlackとかGmailにも」と欲を出したら、連携予定の一覧だけ画面に追加して、実装は後回しにしていました。正直で助かります。

ただ、実際に触ると音声まわりで3つ引っかかりました。私が送った報告は、こんな感じです。

  • 「音声で話す」を選ぶと、OpenAIへの送信許可を求めるダイアログが出て、許可済みの資料があるのに音声もチャットも使えない
  • 音声の回答中も終了後も、終了ボタンを押しても反応しない
  • 声のタイプを選ぶときに、サンプル音声(日本語)を聞けるようにしたい

どれもスクリーンショットを貼って、一言添えただけです。Codexはそれぞれ直して、終了ボタンは「押したらマイクと再生を直ちに止め、通信の確認が終わらなくても5秒で操作可能に戻す」という仕様に変えていました。

ここまでが9月11日。1日目の話です。この時点ではまだ「自分用の実験アプリ」でした。

本題:自社サイトのチャットボットを置き換えたい

「このアプリ、落ちてて開かないんです」から始まった

翌9月12日の夜、19時58分。私は別のスレッドを立てて、こう送りました。

  • 私の指示(2026年9月12日 19:58):「基本的にこの仕様でいいんですけれども、株式会社カンマンのトップページにチャットボットを実装しています。これは Dify を使って作っているんですが、できたらこの GPT-Live 連携アプリに置き換えていきたいと思います。このアプリがなぜか落ちてて開かないんです。それも確認してほしいです。したがってその場合、今作ってもらったアプリとは別バージョンで、カンマンのチャットボット用という位置づけのものが必要になると思います。それの設計をしてほしいです。」

まず「落ちてて開かない」の原因です。Codexの診断結果はシンプルでした。前日の試作は、Mac上のアプリをCloudflareの一時トンネル(trycloudflare)でインターネットに中継する方式。Macがスリープするか、中継プロセスが止まれば、URLごと消える。コードが壊れたわけではありません。そういう運用方式だった、というだけの話です。公式サイトに載せるものを、私のMacの電源に依存させるわけにはいきません。ここで「固定URLと常時稼働の環境が要る」という宿題が確定しました。

もう1つ、恥ずかしいオチがあります。私は「Difyで作っている」と書きましたが、Codexが公式サイトのソースを読んだところ、実際に読み込まれていたのはLovableで作ったウィジェットのスクリプトでした。私が「DifyじゃなくてLaravelだったと思う」と訂正すると、Codexは設計書に「Laravel利用の実体は未確認。特定製品への接続を前提にせず、Webサイトの内容から回答する仕様を再現する」と書きました。発注者の記憶違いを、そのまま前提にしない。この姿勢は人間の外注先にも見習ってほしいくらいです。

設計書が先に出てきた

その夜、Codexが最初に出してきたのは約42,000文字の設計書でした。コードはまだ1行もありません。タイトルは「企業ごとに展開するAIアシスタント設計案」。

要点はこうです。

  • 企業ごとに管理:「振る舞い」(役割・口調・引き継ぎ条件)と「ナレッジ」(公式サイト・PDF・FAQ)を会社単位で持つ。カンマンが1社目で、同じ仕組みを他社にも展開できる
  • 回答の制約:公開知識にある事実だけを答え、参照ページを表示する。根拠がない料金・納期・対応可否を作らない。助成制度の可否や金額を個別判断しない
  • 人への引き継ぎ:個別見積りや契約判断は問い合わせフォームへ。会話内容を自動送信しない
  • 利用上限:文字は1企業200件/日、音声は20分/日、1回120秒、同時3接続。予算の暴走を仕組みで止める

私が頼んだのは「カンマンのチャットボット用の別バージョン」だけです。でも出てきたのは「他社にも展開できる仕組み」でした。ここは意見が分かれると思います。オーバースペックと見るか、先を見た設計と見るか。私はウェブ制作会社なので、後者として受け取りました。自社で使って磨いたものを、お客さんにも提供できる。それが最初から設計に入っている。

設計書の中で私がいちばん納得したのは、回答の制約の部分です。生成AIの窓口で怖いのは「言ってないことを言う」ことです。特に助成金の話。カンマンは生成AI研修で助成金の活用を案内していますが、個別の可否や金額はAIに答えさせない。そう最初に決めておいたのは正解でした。

深夜のフィードバックと、翌朝までの修正

設計書のあと、その夜のうちに実証実験版が動き始めました。

2026年9月12日深夜の実証実験版の会話画面(幅390px)。ヘッダーに「実証実験」のラベルと「新規チャット」ボタン、大きな音声ボタン、フッターに電話番号が表示されている

9月12日深夜の初期版の会話画面です。ヘッダーに「実証実験」のラベルが付いていて、右上に「新規チャット」ボタンがあります。この時点では音声ボタンも大きく、フッターに電話番号が入っていました。後で社員の指摘で変わる部分なので、覚えておいてください。

23時10分、私からの最初の使用感がこれです。

  • 音声会話が少し時間が経つとタイムアウトして、同じスレッドから再開できない
  • 新規のチャットを始める入口が見つからず、右上の「×」を押しても画面が閉じない状態
  • 「新規チャットに戻る」という動線が要るのでは?

23時24分に0.3.2として直り、23時56分の0.4.0では「大きな音声操作ボタン」「連絡先の入力・確認フォーム」「管理画面の相談受付」が追加され、日付が変わった0時27分の0.4.1では外側の「AIに相談する」ボタンが大きくなっていました。私が次に返事をするまでに、版が3つ進んだことになります。

ここで1つ、運用の判断をしました。当初のCodexの案は、アシスタントの中に独自の連絡フォームを持つ方式でした。でも私が「フラミンゴが入っているので、問い合わせの履歴はここで確認できます」とWordPressの管理画面のスクリーンショットを見せたら、Codexは方針を変えました。Flamingoは、Contact Form 7の送信履歴を保存するWordPressのプラグインです。受付窓口を増やさず、既存のお問い合わせフォームに集約する。「担当者に連絡を依頼」を押したら公式フォームが別タブで開く、という今の形はここで決まりました。実際にフォームから1件テスト送信して、info@宛ての通知と自動返信が届くところまで確認しています。

音声はどう動いているのか

仕組みの話を少しだけ。非エンジニアの私が理解した範囲で書きます。

スマートフォン(幅390px)で公式サイトの会話パネルを開いた画面。「音声で相談する」ボタンと入力欄、下部に「担当者に連絡を依頼」、その下にサイトの固定バー(chat・mail・tel)が見えている

スマートフォンで会話パネルを開いた画面です。「音声で相談する」を押すと、ブラウザがマイクの許可を求めます。許可すると、音声はブラウザからOpenAIへWebRTCで直接つながる。カンマンのサーバーは音声を中継しません。だから録音も残りません。

サーバーがやっているのは「制御」と「検索」です。通話が始まると、サーバー側はOpenAIの音声セッションに別の接続(サイドバンド)でつながっていて、訪問者が「研修の料金は?」と話したら、その質問を受け取り、カンマンの公式サイトのナレッジを検索して、結果を音声側に返します。GPT-Live-1はそれを声にして話す。この分担が、設計書にあった「client delegation」です。

  • 会話を担当gpt-live-1。聞く・話す・割り込みへの対応に集中する。1分0.05米ドル
  • 考えるのを担当gpt-5.6-terra。ナレッジを検索した結果から回答文を組み立てる。入力100万トークン2米ドル、出力100万トークン12米ドル
  • ナレッジ:カンマン公式サイトの7ページを2026年9月12日に取り込んだもの。管理画面からPDF・Word・URL・FAQを追加できる
  • 文字チャット:同じナレッジと同じ振る舞いを使う。答えの下に参照ページのリンクを表示

費用の話をしておきます。音声は1企業20分/日が上限なので、音声部分だけなら1日およそ1米ドル、30日使い切っても30米ドルです。これに回答生成の料金が乗りますが、1回の回答で送るトークンは限られているので、桁が変わるほどではありません。サーバー代は後述のVPSで月3,520円。月に1万円かからない窓口です。「AIの音声窓口=高い」というイメージは、もう当てはまりません。ちなみに9月12日の夜、Codexが実際のAPIで文字と音声の回答を検証したときの費用は、ログで確認できた範囲で約0.13米ドルでした。

もう1つ大事なのが、勝手に話し過ぎない仕組みです。1回の音声は120秒で終了処理に入ります。「終了」ボタンかパネルを閉じる操作で、マイクと再生が即時に止まる。管理画面から「AI受付の停止」も1クリックでできて、その企業の進行中の会話をすべて終了させます。止め方が用意されていることが、公式サイトに載せる条件だと私は思っています。

「このMacが止まったら終わり」問題と、さくらのVPSへの移行

選択肢は3つ、決めたのは1つ

9月13日の13時16分。私が送ったのは、こんな質問でした。「このMacの管理画面を、どこか公開環境に移動しないと、うまくいかない可能性があるということですかね?」

Codexの答えは「はい」で、移行先の候補を3つ並べてきました。

候補サーバー関連の料金Codexの評価
さくらのVPS(石狩・4GB)月額3,520円(税込)、初期費用0円、最低利用3か月今の構成をそのまま動かせる。OS更新やバックアップは自社で管理
Vercel Pro月額20米ドルから会話状態をメモリーに持つ今の構造を変える必要がある。無料枠は商用利用の対象外
Cloudflare Workers Paid月額5米ドルから資料保存と音声セッションの作り直しが要る

私が出した条件は「サーバー費用は月額5,000円以内」だけです。Vercelにはアカウントがあり、Cloudflareもよく聞く名前だったので候補に入れてもらいましたが、Codexは「今の実装を移すならさくら」と言い切りました。決め手は安さより、構造を変えずに済むこと。ここで13時47分、「さくらのVPSで進める」と返しました。

契約を決めた直後、私は思いつきで「このシステムをさくらのVPSに置いた場合、MCPで接続してデータを取り出すことは可能でしょうか?」とも聞いています。Codexは公式仕様を確認して「社員認証付き・読み取り専用で作る構成が適しています」と答え、設計メモまで残しました。実装はしていません。作りながら次の構想が生えてくるのは、こういう進め方の副作用です。

契約と支払いは私、設定はCodex

ここからの1時間半が、この4日間で私がいちばん手を動かした時間です。

さくらのVPSの新規登録、支払い方法の登録、支払い確定。Google Cloudの本人確認、OAuthクライアントの作成、ポリシーの承認、認証情報のJSONのダウンロード。全部、私がブラウザで操作しました。お金と本人確認が絡む操作は、AIにやらせない。これは私のルールでもあり、Codex側の設計でもあります。カードの情報やパスワードは会話に一度も出ていません。

一方でサーバーの初期設定は、Codexが用意したスクリプトを私がSSHで流す形でした。ターミナルの結果をそのまま貼り付けると、Codexが読んで次の指示を出す。実際のやり取りは、こんな感じです。

  • 私:(perlのロケール警告と「Missing privilege separation directory: /run/sshd」が並んだログを貼って)「これで完了でしょうか?」
  • Codex:「まだ初期設定の途中で止まっています。こちらで用意したスクリプトに、SSH用フォルダを作成する処理が不足していました」と、原因を自分の不備だと認めて、再開用のスクリプトを用意
  • 私:「OS reboot required before launch. COMMAN_BOOTSTRAP_COMPLETE」と貼る
  • Codex:再起動後の検査でOSの中核部分の更新が保留されていることに気づき、「最初の更新コマンドに、必要な追加パッケージを含める指定が不足していました」と、また自分から申告して更新スクリプトを追加
  • 私:「COMMAN_OS_UPDATE_COMPLETE」と貼る。「ログインできました」

エラーの意味は私には分かりません。でも貼れば読んでくれる。非エンジニアがサーバーを触るときの体験は、この2年で本当に変わりました。

VPSに載った構成

でき上がった本番構成は、こうです。

  • 常時稼働:さくらのVPS(Ubuntu 24.04)上で、Docker Composeがアプリ本体と、HTTPS証明書を自動で取って更新するCaddyを動かす。データベースは使わず、設定や資料はサーバー上の暗号化ファイルに保存。同じVPSには社内の日報アプリも同居している
  • 社員ログイン:管理画面 /admin/ はGoogle Workspaceの認証が必要。メールの末尾だけでなく、署名検証済みのIDトークンで会社のWorkspace所属を確認する
  • 秘密情報の保護:企業ごとのOpenAI APIキー、相談記録、利用ログをAES-256-GCMで暗号化して保存。配布ファイルにはキーもデータも含めない
  • バックアップ:暗号化アーカイブの作成・検証・復元のコマンドを同梱。更新前に取り、別フォルダへ復元して一致を確かめる手順を踏む

9月13日の夜には、Mac側のサーバーを止めた状態でVPSが実際のAI回答を返すことを確認しました。「Macを閉じても動く」。当たり前のことですが、前日まではできていなかったことです。

「iframeを貼れば差し替えできる?」は半分正解だった

15時37分、私は「トップページで稼働しているチャットボットを、今回のAIアシスタントのiframeを貼り付けることで差し替えできる、という認識でいいですか?」と聞きました。

答えは「半分正解」。既存サイトが読み込んでいたのはscriptタグ1行だったので、差し替えもscriptタグ1行です。新しいタグが右下のボタンと会話用のiframeを自動で生成する。iframeを自分で貼る必要はありませんでした。

「明日、担当者にこのコードの差し替えを依頼するつもりです。なので、それ以前のテスト確認は今済ませておきたいです」と伝えると、Codexは公式サイトのWordPressに未公開の固定ページを作って、実際の新コードからiframeを開き、AI回答、実マイクの接続、閉じる操作での通話停止、問い合わせフォームへの遷移まで確認していました。この確認の途中で、マイクの許可を保留したまま中止すると質問欄が操作できなくなる不具合が1件見つかり、その日のうちに直して51件のテストを通しています。「念のため今やっておく」という判断が、差し替え後に出るはずだった不具合を1件、前日に片づけた場面です。そのうえで、担当者向けの差し替え依頼書を1枚にまとめてくれました。旧コードの保存場所、新コードの1行、切替直後に確認する4点、問題があったときの戻し方。戻し方が書いてある依頼書は、頼まれる側にとっていちばん安心です。

  • 一時URLは公開用ではない:trycloudflareのような一時トンネルは、Macの電源と中継プロセスに依存する。公式サイトに載せるものは固定URLと常時稼働が前提
  • Macの管理画面はMacからしか使えない:社員それぞれが自分の端末から確認するには、認証付きの公開環境が要る。今回はGoogle Workspaceログインで解決
  • 設置は1か所だけ:旧コードと新コードを同時に残すと、右下にボタンが2つ出る。差し替えは「外して、入れる」

本番切替と、担当者からの「重なってます」

朝のフィードバックで、会話欄が2.1倍に広がった

9月14日の朝。差し替えを担当する社員の北村君から、注釈付きのスクリーンショットでフィードバックが届きました。私はそれをそのままCodexに渡して、9時22分に「修正可能でしょうか?」と一言。

指摘は5点でした。会話エリアを広げる。「実証実験」の表示を消す。問い合わせボタン下の注記を消す。電話番号を消す。音声ボタンを小さくする。

北村さんの指摘を反映した修正の前後比較(375×812px)。左は修正前で「実証実験」ラベル・大きな音声ボタン・電話番号があり、右は修正後で会話履歴の表示領域が約126pxから265pxへ広がっている

左が修正前、右が修正後です。同じ375×812pxの画面で、同じ回答と参照リンク2件を表示した状態を比べています。音声ボタンの高さを約68pxから55pxに、文字を18pxから16pxに、アイコンの枠を42pxから30pxに縮めて、ヘッダーで重複していた「新規チャット」を下部に統合。結果、会話履歴の表示領域は約126pxから265pxへ、2.1倍に広がりました。この数値もCodexが同一条件で測って報告してきたものです。

9時33分にはVPSへ0.5.2として反映済み。設置コードのURLは変わらないので、担当者がやることは「ページを再読み込みして確認する」だけでした。

そしてこの日の日中、北村君が公式サイトのscriptタグを差し替えました。ここが本番切替です。私はその瞬間を見ていません。切替そのものは、社員が自分の手で、自分の判断で行った。ここは人の仕事として残しました。

「固定バーが押せない」。6枚の検証資料が届いた

16時32分、北村君から2回目の修正依頼が来ました。今回はMarkdownの依頼書と、検証スクリーンショット6ページ分のPDF付きです。

担当者の北村さんが作成した検証資料の1ページ目。「スマホ:固定バーが押せない」として、390×844pxで「AIに相談する」ボタンが固定バーのchat・mail・telに縦34px重なっている状態を示している

北村君が作った検証資料のうち、最初の指摘のページです。「スマホ:固定バーが押せない」。390×844pxの画面で、右下の「AIに相談する」ボタンが、サイト下部の固定バー(chat・mail・tel)に縦34px重なって、3つとも中心をタップできない。ランチャーの寸法、固定バーの高さ、重なりのピクセル数まで書いてあります。ほかにも「PC・タブレット最下部でSNSアイコンが隠れる」「スマホ最下部でロゴ・コピーライトが隠れる」。

正直に言うと、私はこの資料を見て少し感動しました。動くものが目の前にあると、フィードバックがここまで具体的になる。企画書の段階で「ボタンの位置はどうしますか」と聞かれても、誰もこんな答えは出せません。

Codexの対応は0.5.3です。ボタンを幅332px・高さ104pxから、幅272px・高さ72pxへ縮小。767px以下の画面では、下端からの位置を66pxに変更して固定バーの上に載せる。会話パネルの高さも下端位置と連動させる。実サイトの390px・744px・768px・1440pxで重なりが0になることを確認したうえで、スマホ最下部のロゴだけは「サイト側のCSSにフッターの余白を足す」方式を提案し、追加用のCSSを用意しました。ウィジェット側でできることと、サイト側でやるべきことを分けたわけです。

この対応結果は、私が「Slackで北村くんに@で通知お願いします」「さっきの修正依頼のスレッドに返信してもらったら分かりやすいと思います」と頼むと、Codexが対応内容と残りの依頼事項をまとめて、北村君の修正依頼のスレッドにそのまま返信を投稿しました。Slackの操作までCodexがやっています。

「最大75%」が隠れる。ボタンが自分で避けるようになった

17時2分、私からもう1点。「『最大75%』が隠れるのを回避できませんか?」

カンマンのトップページには、生成AI研修の助成金を案内する赤いバナーが右下にあります。そこに「最大75%」という数字が大きく書いてある。新しいAIボタンが、その数字にちょうど重なっていました。

2026年9月15日のスマートフォン表示(幅390px)のトップページ。右下の研修バナー「最大75%」を避けて、AIボタンが左側の60pxの丸いボタンに切り替わっている

これが0.5.4を反映したあとの、スマートフォンでのトップページです。研修バナーと重なる場面では、AIボタンが左側の60pxの丸いボタンに切り替わります。スクロールして重なりがなくなると、元の横長のボタンに戻る。PCではバナーの左隣に移動します。設置タグの変更は不要で、ページを再読み込みすれば反映されます。

17時43分、北村君から返信が来ました。原文をそのまま載せます。

  • トップの「最大75%」バナー:固定バーとの重なりなし
  • ページ最下部のロゴ・コピーライト:重なりなし
  • 固定バーの chat / mail / tel:いずれもタップ可能
  • 390px・744px・PCとも問題なし

この4行で、本番切替が完了しました。

  • 配信側で直せる:ウィジェットはVPSから配信されるので、修正はサーバー側の版上げだけ。サイトのタグは1行のまま
  • 版ごとに戻れる:0.5.1から0.6.0まで、VPSに各版のリリースとDockerイメージを残している。前の版のフォルダに移って起動コマンドを1つ打てば戻せる
  • 人が確認して閉じる:修正のたびに、担当者が実機と実サイトで見て「問題なし」と言うまでを1サイクルにした

おまけの追加:会社別の利用ログとCSV出力

18時9分。私は最後にこう頼みました。「各登録会社別に利用ログを取れる機能を追加してください。任意の期間をCSVでダウンロードできるようなものが望ましいです」

AIアシスタント管理画面の「利用ログ」タブ。開始日・終了日、利用種別、利用区分の絞り込みと「CSVをダウンロード」ボタン、利用件数55件・文字54件・音声1件・会話数19件の集計が表示されている

18時33分には、VPSで0.6.0が動き、記録が始まっていました。管理画面の「利用ログ」で、開始日・終了日、文字か音声か、公開利用か下書きテストかを絞り込んで表示し、CSVで全件を取得できます。画像は検証中の画面で、利用件数55件、会話数19件と出ています。

利用ログの1件を開いた画面。「カンマンの生成AI研修について、短く教えてください」という質問と、公式サイトの内容に基づく回答の全文、処理・接続時間4.4秒、会話IDが表示されている

1件ずつ開けば、質問と回答の全文、処理時間、会話IDまで確認できる画面です。この画像の質問は「【利用ログ機能の動作確認】カンマンの生成AI研修について、短く教えてください」で、回答が返るまで4.4秒。回答文は、公式サイトの研修ページの内容だけで組み立てられています。

記録の中身はAES-256-GCMで暗号化して保存され、IPアドレスもAPIキーも録音も記録しません。CSVはUTF-8のBOM付きで、表計算ソフトが数式として解釈しそうな文字列には先頭にアポストロフィを付ける。ここまで細かい配慮を、私は1行も指示していません。

4日間を数字で振り返る

項目数字
期間2026年9月11日 11:17(最初の質問)〜 9月14日 18:40(利用ログ反映)
私が送った指示ログに本文が残っているもので、試作スレッド9回、本番スレッド29回(スクリーンショットの貼り付けや「支払い確定しました」の報告を含む)。本番スレッドには本文が保存されていない発言も17か所以上あり、実数はもう少し多い
Codexのツール実行本番スレッドだけでコマンド実行690回、ブラウザ操作327回、私への確認質問21回
版の数実証実験版0.3.0から本番0.6.0まで、3日間で10版以上
自動テストアシスタント本体は初版の14件から、本番0.6.0で64件に増加(試作アプリは別に46件)。日本語の品質検査もCodexが自分で実行
実作業時間10分以上の空白で区切った連続作業の合計で、試作スレッドが約3時間43分(3ブロック)、本番スレッドが約9時間35分(15ブロック)。最長は9月13日12:57〜16:06の約3時間9分で、VPSへの移行作業
使ったモデルCodex内はGPT-6 Astra(推論xhigh)。アシスタント本体はgpt-live-1と gpt-5.6-terra
月額のサーバー費用3,520円(さくらのVPS 石狩4GB、税込。初回のみ2か月分前払い)

私の指示のうち、「設計や仕様を決めた」と言えるものは10回もありません。残りはスクリーンショットを貼って「こうなりました」と報告するか、「お願いします」「有効化していいです」と承認するかです。私の仕事は、判断と、確認と、お金と本人確認の操作でした。

やってみて分かったこと

1. 時間を食うのは、人間側の段取りのほう

4日間でいちばん長く手を止めたのは、VPSの契約と支払い、Google Cloudの本人確認、DNSの設定でした。Codexが待っているのは、私がブラウザで規約に同意して、カードを登録して、本人確認を通す時間です。AIが速くなるほど、人間側の「契約・支払い・権限」の手続きが目立つ。これは今後どの会社でも起きます。逆に言えば、そこを先に済ませておけば、開発はもっと速い。

2. 動くものを先に見せると、社内の意見が具体的になる

北村君のフィードバックは、1回目が「会話欄を広げて、実証実験の表示を消して」、2回目が「縦34px重なって固定バーが押せない」でした。動いていない企画書には、こういう指摘は来ません。先に動かして、社内で叩く。生成AIの時代のツール開発は、この順番でいいと私は思っています。

3. 「落ちてて開かない」の正体は、設計の問題だった

前日の試作が開かなかった原因は、一時URLとMacの電源に頼っていたことです。バグではありません。公式サイトに載せるなら、固定URL、常時稼働、バックアップ、止め方。この4つを最初から要件に入れる。動くことと、動き続けることは別の要件です。

4. 音声は「聞く・話す」と「考える」を分けると、安くて安全になる

GPT-Live-1は会話に集中し、回答の中身は別のモデルがナレッジを検索して作る。この分担のおかげで、音声の料金は分単位で読めて、答えの根拠は公式サイトに限定できます。「AIが勝手なことを言うのが怖い」という声を研修でよく聞きますが、何を根拠に答えるかを仕組みで縛るのが答えです。

5. 中小企業のサイトの問い合わせ窓口は、こう変わる

24時間、文字でも声でも答えて、根拠のページを示して、個別の話は人につなぐ。カンマンの公式サイトの窓口は、この形になりました。月額のサーバー費用は3,520円です。私たちはウェブ制作会社なので、この仕組みはお客さんのサイトにも載せられるように作ってあります。「自社のサイトでもやってみたい」という方は、お問い合わせフォームから、一言だけでも送ってください。まず今のサイトの右下で、AIアシスタントに聞いてみるのもおすすめです。

よくある質問

音声の会話は録音されますか?

カンマンのサーバーでは音声を録音保存しません。音声はブラウザからOpenAIへ直接送られる仕組みです。質問と回答の文字と、取得できた文字起こしは、利用状況の確認のために暗号化して保存します。この扱いは会話パネルにも表示してあります。

費用はどのくらいかかりますか?

GPT-Live-1の音声は1分0.05米ドル(2026年9月15日時点、OpenAI公式料金表)。カンマンの設定は音声20分/日が上限なので、音声部分は月30米ドルが最大です。これに回答生成モデルの利用料と、サーバー代の月3,520円が加わります。

非エンジニアでも作れますか?

私はコードを書いていません。ただ、契約・支払い・本人確認・DNSの設定は自分で操作し、ターミナルの結果を貼り付けて進める場面もありました。実感としては「触らずに済む」より「触るけれど、読んで判断してくれる相手がいる」に近いです。

AIが間違ったことを答えたらどうなりますか?

回答の根拠は公式サイトから取り込んだ公開情報に限定し、答えの下に参照ページを表示します。料金・納期・助成金の可否など、根拠のない断定はしない設定です。それでも心配な内容は「担当者に連絡を依頼」から人が答えます。

他社のサイトにも載せられますか?

はい。企業ごとに振る舞いとナレッジを分けて管理する設計なので、会社の設定を追加すれば同じ仕組みで動きます。カンマンではウェブサイト制作・生成AI研修と組み合わせて提案しています。

前のチャットボットとの違いは?

前のウィジェットは文字のチャットでした。今回は音声で質問して声で答えが返り、字幕と参照リンクも出ます。人への引き継ぎは既存の公式フォームに集約し、社員が管理画面から振る舞い・ナレッジ・利用ログを管理できます。

参考・出典

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自社サイトの問い合わせ窓口を、文字と音声で答えるAIアシスタントにしてみたい。社内の資料に音声で質問できる仕組みを試したい。そんなご相談はカンマンのお問い合わせフォームからお送りください。まずは公式サイト右下の「AIに相談する」で、実物を試してみてください。

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貝出康

代表取締役

貝出康

1963年徳島市生まれ。 1999年に楽天の三木谷社長の講演を聴き、イン ターネット時代の到来を悟る。翌年、ホームペ ージ制作会社カンマン設立に参画し、これまで のキャリアで培った営業や人事のスキルを活か しての顧客開拓や社内・労務管理を実践。2019 年〜代表取締役。