NotebookLMの使い方|社内ナレッジ属人化を解消する5シーン
公開日:2026年05月29日

ディレクター / 生成AIコンサルタント
田中健介

「社内マニュアルがどこにあるか分からない」「ベテラン社員に聞かないと過去案件の経緯が分からない」──中小企業のDX担当者からよく出る悩みです。
そこに最も早く効く生成AIが、Googleの NotebookLM です。検索ボリュームは2025年から急増し、2026年5月時点では前年比で大きく伸びています。それでも、機能と業務シーンを結びつけて解説した記事はまだ少ない。
NotebookLMは「読ませた文書だけ」を根拠に答えるAIです。ChatGPTやCopilotと違い、ハルシネーション(事実と異なる回答)が起きにくい。社内ナレッジの属人化解消・議事録の横断要約・提案書ドラフトといった用途で、特に中小企業に刺さります。
書いているのは、累計約20社の中小企業向けにAI研修を実施してきた現役の研修登壇者です。受講者アンケートでも他のAIツールと比較して具体性のある声が多いツールで、私自身も日常業務で使い倒しています。本記事では中小企業視点で業務に直結する5シーンと5分で始める手順を、実画面のスクリーンショット付きで解説します。

NotebookLMとは何か(中小企業視点での3つの特徴)
NotebookLMは、ユーザーがアップロードした文書だけを根拠にAIが応答するGoogleのリサーチツールです。Google AccountまたはGoogle Workspaceで誰でも利用できます。
中小企業視点で重要な特徴は3つです。
- 回答の根拠が明示される:AIの回答に「どのソースの何ページから引いたか」が必ず付く
- 学習データに含まれない:アップロードした文書はGoogleの生成AIモデルのトレーニングには使われない(公式明記)
- 無料から始められる:個人Googleアカウントの無料版でも1ノートブックあたり最大50ソース、合計2,500万語まで扱える
ChatGPTやCopilotが「インターネット全体から学んだ知識」で答えるのに対し、NotebookLMは「あなたが入れた文書だけ」で答えます。だから根拠を確認しやすく、ハルシネーションが起きにくい。社内マニュアル・議事録・契約書のような「正確性が命の文書」を扱う業務に向いています。
データの扱いについては、Google Workspaceを契約している組織であればさらに強固で、アップロード/クエリ/モデル応答は人間のレビュアーにも見られず、生成AIモデルのトレーニングにも使われません(Google Workspace 公式)。中小企業がガバナンスを気にせず本格運用しやすい設計です。
中小企業がNotebookLMを使うべき5つの業務シーン
実務で効くシーンは大きく5つです。
シーン①:社内マニュアル・規定のQ&A化
属人化解消の王道です。社内マニュアル・規定・FAQをまとめて1つのノートブックに入れておけば、新人や中途入社者が「これってどうやるんですか?」と聞かずに済む。回答に根拠ページが付くので「マニュアルのどこに書いてあるか」も分かります。
ベテランに同じ質問が10回飛んでくる構造を断てる。これだけでDX担当者の評価が変わります。
シーン②:プロジェクト管理(議事録・やりとり・見積りを集約)
私自身が一番使っている使い方です。プロジェクトごとに1ノートブック作成し、議事録・クライアントとのメール・見積書・提案書を全部放り込みます。
- 「このPJで未決事項は何が残っている?」
- 「先方が前回ミーティングで気にしていた点は?」
- 「初回見積からスコープがどう変わってきたか?」
こうした質問に、根拠付きで即答してくれます。複数案件を並行している担当者には過去の文脈を秒で引き出せる外部脳になります。
シーン③:業種別の専門資料の業務活用
弊社のAI研修受講者アンケートでも、業種別に刺さり方が出ています。一例を紹介します。
建設・住宅関連業の受講者(業務改善担当)の声
「NotebookLMは特に自身の業務に活用できそうです。メーカーのカタログや資料、または社内のマニュアルを読み込ましておけば、調べたい時にすぐに調べられるので、とてもいいと思いました。」
士業の受講者(管理職)の声
「法律等の専門職についてはChatGPTよりもNotebookLMの活用メリットが大きいように思いましたので、業種によりそちらに時間配分をおくことも良いかなと思いました。」
メーカーカタログ、技術資料、法令・税法・条例といった「ボリュームがあって正確性が命」の文書を扱う業種は、NotebookLMの恩恵が大きい。ChatGPTで法令を聞くと条文番号が架空のものになる「ハルシネーション」が起きますが、NotebookLMは入れた条文集だけから答えるのでこの種の事故が起きません。
シーン④:学習・教育コンテンツの活用(検定過去問など)
教育機関や社内研修担当にも刺さるシーンです。検定試験の過去問・テキストをまとめてアップロードしておけば、AIが類題を出題し、解説まで生成できる。
私自身、研修や授業の場面で「過去問を全部入れて、生徒に問題出させて解かせる」使い方を実践しています。テキストを暗記するより、対話形式で問題を解く方が定着が良い。中小企業の社内教育(新人研修、ISO・コンプライアンス研修)にも応用できます。
シーン⑤:ロングドキュメント・ニュースのラジオ化(Audio Overview)
NotebookLMの代名詞的機能が Audio Overview(ラジオ風の音声要約生成) です。アップロードしたソースをもとに、AIが2人のホスト役で対話形式のラジオ番組を自動生成してくれます。
2026年時点で50以上の言語に対応しており、日本語の音声生成も品質が高い水準にあります(Google Blog 公式)。
私は業界レポート・長文ニュース・自社の長尺資料を放り込んで、通勤や移動時間にラジオとして聞く使い方をしています。読む時間が取れない資料を「ながら聞き」で頭に入れられるのは画期的です。

【実演】PJ用ノートブックを5分で構築する手順
ここからは私が実際に運用しているPJ管理ノートブックを例に、画面付きで手順を解説します。
手順①:NotebookLMにアクセスし、新規ノートブックを作成
NotebookLM公式サイトにアクセスし、Googleアカウントでログイン。「新しいノートブック」をクリックして作成します。

手順②:プロジェクト関連の文書をソースとして追加
ノートブック作成直後の画面で、ソース(参照させたい文書)をアップロードします。受け付ける形式は次のとおりです。
- PDF、テキストファイル、Markdown
- Googleドキュメント、Googleスライド
- WebサイトのURL(リンク貼り付けで取り込み)
- YouTube動画のURL(字幕から内容を抽出)
- 音声ファイル(録音した会議など)
PJ管理なら 議事録(Googleドキュメント)/メール本文(テキスト貼り付け)/見積書(PDF)/クライアント提案書(PDF) を入れていきます。

手順③:質問してみる(根拠付き回答を確認)
ソースを入れ終わったら、画面下部のチャット欄に質問を入力します。
実際に効くプロンプト例:
- 「このPJで未決事項を一覧化してください」
- 「前回のミーティングで先方が気にしていた点は?」
- 「初回見積から現在までスコープがどう変わったかを時系列で整理して」
- 「先方の◯◯さんが過去にメールで言及していた懸念点を全部出して」
回答には「どのソースのどの部分から引いたか」がボタンで表示されます。クリックすると該当箇所がハイライトされ、文脈を確認できる。これが他のAIにはない最大の強みです。

手順④:Audio Overview(ラジオ)を生成する
右側パネルの「Studio」セクションから「音声概要を生成」を選びます。生成には数分かかります。
生成された音声は2人のAIホストが対話形式でPJ概要を解説するラジオ番組形式です。クライアント先への移動中や、PJを久しぶりに思い出したい時に「ながら聞き」できます。


落とし穴と回避策
実際に運用してハマる箇所がいくつかあります。代表的なものを挙げます。
- 画像が多いPDFは文字が拾えないことがある:スキャンPDFは事前にOCR処理を。Acrobatの「テキスト認識」かGoogleドライブの「Googleドキュメントとして開く」で対応可能
- 音声ファイルは長尺だと処理に時間がかかる:1時間超の会議録音は30分程度に分割した方が安定
- 共有設定をデフォルト「非公開」で確認:個人情報や機密文書を入れたノートブックを誤って公開設定にしないよう、作成直後に共有設定をチェック
研修受講者アンケートに見る業種別の刺さり方
カンマンが実施した中小企業向けAI研修の受講者アンケートでは、NotebookLMへの反応は他のAIツールと比べて具体性が高い特徴がありました。
抜粋した2件は前章で紹介したとおりです(建設・住宅関連業/士業)。共通点を整理すると、刺さる業種には明確な傾向があります。
- 製品カタログ・技術資料を頻繁に参照する業種(建設、住宅、製造)
- 法令・条例・税法の解釈が業務の中心にある業種(士業、医療、教育)
- 過去の議事録・提案書を頻繁に参照する業種(コンサル、士業、デザイン会社)
- 社内マニュアルが膨大な業種(製造、建設、医療、介護)
逆に「Excelの数値処理が中心の業務」は、Copilot for ExcelやChatGPTのCode Interpreterのほうが向きます。NotebookLMは文書を扱うAIであって、数値計算や表操作には適さない。この使い分けは後述します。

注意点と限界(情報漏洩・公開範囲・ソース数制限)
NotebookLMは強力ですが、業務利用時に必ず押さえておくべき点があります。
①入れていい情報・入れちゃダメな情報
お客様の個人情報・社外秘情報を、共有設定が公開のノートブックに入れない。これは絶対です。NotebookLMの共有設定は「非公開」「リンクを知っている人」「組織内」「公開」の段階がありますが、デフォルトの非公開のまま運用するのが安全です。
判断基準として、Google Workspace契約下のアカウントで運用すれば、人間レビュアーに見られず、モデル学習にも使われないことが公式に明記されています(Google Workspace 公式)。個人の無料アカウントよりWorkspaceアカウントでの運用が、機密文書を扱うなら推奨です。
②ソース数とサイズの上限
2026年5月時点の上限は以下のとおりです(NotebookLM Help)。
| プラン | 1ノートブックあたり最大ソース数 | 1ソースあたり最大単語数 |
|---|---|---|
| 無料版(個人Google) | 50ソース | 50万語 |
| Google AI Plus | 100ソース | 50万語 |
| Google AI Pro | 300ソース | 50万語 |
| Google AI Ultra | 600ソース | 50万語 |
無料版でも1ノートブック合計2,500万語まで扱えます。日本語の本1冊が約10万字なので、250冊分の文書を1ノートブックに入れられる計算です。中小企業の通常業務なら無料版で十分なケースがほとんどです。
③チャット回数・Audio Overview生成回数の制限
無料版は1日50回のチャット、1日3回のAudio Overview生成まで。本格運用するならGoogle AI Plus以上を検討する価値があります。

NotebookLM × Copilot × ChatGPT の使い分け
3つのAIツールを混同せず、業務シーンで使い分けると効率が跳ね上がります。
| 用途 | NotebookLM | Microsoft Copilot | ChatGPT |
|---|---|---|---|
| 社内文書のQ&A | ◎ 最適 | △ Copilot for M365なら可 | × 学習データ範囲外 |
| 議事録の横断要約 | ◎ 最適 | ○ Teams Copilotで単発要約 | △ コピペで都度 |
| Excel数値分析 | × 不向き | ◎ 最適(Copilot for Excel) | ○ Code Interpreterで可 |
| メール下書き | △ ソース必須 | ◎ 最適(Outlook Copilot) | ○ 汎用文章生成 |
| アイデア出し・壁打ち | △ ソース必須 | ○ Microsoft 365 Chat | ◎ 最適 |
| 法令・専門資料の解釈 | ◎ 最適 | △ | × ハルシネーション懸念 |
中小企業の最適構成は次のとおりです。
- 日常業務(メール・Excel・Teams・PowerPoint):Microsoft Copilot(M365契約者)
- 社内ナレッジ・PJ管理・専門資料:NotebookLM
- 創発的なアイデア出し・自由なライティング:ChatGPT
Copilotの料金・プランの詳細は別記事Microsoft Copilotの料金を全プラン解説【無料〜法人まで比較】で整理しています。営業日報・売上データの分析にCopilotを使う実例は営業日報をAIで分析する方法|Copilot×Excelで改善点を抽出が参考になります。生成AI研修の選び方は生成AI研修の選び方|中小企業が失敗しない7つの判断軸で深掘りしています。

NotebookLM 使い方に関するよくある質問
Q1. Google Workspaceを契約していなくても使えますか?
A. はい、個人の無料Googleアカウントで利用できます。1ノートブックあたり最大50ソース、合計2,500万語まで対応します。
Q2. アップロードした文書はGoogleの学習に使われますか?
A. 使われません。Workspace契約下では人間レビュアーにも見られず、生成AIモデルのトレーニングにも使われないと公式に明記されています。
Q3. 何種類のファイル形式を読み込めますか?
A. PDF、テキスト、Markdown、Googleドキュメント、Googleスライド、WebサイトURL、YouTube動画URL、音声ファイルに対応します。
Q4. Audio Overview(ラジオ)は日本語で生成できますか?
A. はい、2026年時点で50以上の言語に対応しており、日本語でも自然な対話形式の音声が生成できます。
Q5. スキャンしたPDFも読み込めますか?
A. 画像のみのスキャンPDFは文字が拾えない場合があります。事前にOCR処理(Acrobatの「テキスト認識」など)をかけてください。
Q6. NotebookLMはCopilotやChatGPTと併用できますか?
A. むしろ併用が推奨です。NotebookLMは社内文書・専門資料、Copilotは日常業務、ChatGPTはアイデア出しと役割分担すると効率が最大化します。
Q7. 中小企業が最初に始めるとしたら、どの業務から?
A. 社内マニュアル・規定のQ&A化が最も効果を実感しやすい入口です。属人化解消とベテラン依存の軽減に直接効きます。
Q8. 研修や導入支援はどこに頼めますか?
A. カンマンでは、NotebookLMを含む生成AI研修・導入支援を実施しています。御社のデータを使った演習プログラムも組めますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ:社内ナレッジ属人化を解消したいなら、まずNotebookLM
NotebookLMは「読ませた文書だけ」を根拠に回答する設計のため、中小企業が抱えがちな次の問題を直接的に解決します。
- 社内マニュアルが膨大で、必要な情報を探すのに時間がかかる
- ベテラン社員に聞かないと過去の経緯が分からない
- 議事録・提案書・契約書が散らかって全体像が見えない
- 専門資料・法令・カタログをChatGPTで聞くとハルシネーションが起きる
無料版で始められ、Google Workspace契約下なら機密文書もガバナンスに配慮して扱えます。今日から1つノートブックを作って、社内マニュアル数本を入れてみるだけで、業務効率の体感が変わるはずです。
「自社の業務に合わせて研修したい」「全社展開のロードマップを引きたい」とお考えなら、カンマンの生成AI研修・導入支援にご相談ください。NotebookLMを含む複数ツールを御社の実データで演習する形でご支援できます。
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ディレクター / 生成AIコンサルタント
田中健介
2023年に株式会社カンマンへ入社。Webエンジニア、Webディレクターを経て、現在は生成AIコンサルタント/ディレクターとして活動。会計事務所・建設・リフォーム・自動車整備など多様な業種で生成AI研修を担当し、セミナー講師としても10回以上、累計300社以上の方にご参加いただきました。








