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Anthropic CEOの「12ヶ月以内にソフトウェアエンジニアリングは完全自動化される」発言を徹底解剖してみた

貝出康

代表取締役

貝出康

こんにちは。今日はちょっと衝撃的な話題について深掘りしてみようと思います。

2026年1月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)で、Anthropic(アンソロピック)のCEOであるDario Amodei(ダリオ・アモデイ)氏が、かなり大胆な発言をしました。

「6〜12ヶ月以内に、AIがソフトウェアエンジニアの仕事のほとんど、いや、もしかしたら全てをできるようになる」

…いやいやいや、それって本当なの?と思いますよね。エンジニアの友人たちからすると「え、俺らの仕事なくなるってこと?」って話になるわけです。

というわけで今回は、この発言について徹底的に調べてみました。実際のところどうなのか、何が起きているのか、そしてエンジニアたちは本当に危機的状況なのか。一緒に見ていきましょう。

このページの目次

まず、Dario Amodei氏って誰?

話を進める前に、発言主について軽くおさらいしておきましょう。

Dario Amodei氏は、Anthropicという会社のCEO兼共同創業者です。Anthropicって何かというと、あの「Claude」というAIを作っている会社ですね。ChatGPTの対抗馬というか、最近めちゃくちゃ性能が良くなってきているAIです。

彼はもともとOpenAI(ChatGPTを作っている会社)の研究担当副社長だったんですが、2021年に何人かのメンバーと一緒にOpenAIを辞めて、Anthropicを立ち上げました。理由は「AIの安全性をもっと重視したい」というもの。

要するに、AI業界のど真ん中にいる超重要人物なわけです。だからこその発言の重みがある、ということですね。

具体的に何を言ったのか?

さて、WEF 2026でのAmodei氏の発言を整理してみましょう。

タイムラインについて

彼が示したタイムラインはこんな感じです:

  1. 3〜6ヶ月後:AIがコードの90%を書くようになる
  2. 12ヶ月後:AIが「本質的にすべての」コードを書くようになる可能性がある

2026年1月の発言なので、つまり: – 2026年4月〜7月頃:コードの90%がAI製 – 2027年1月頃:ほぼ全てのコードがAI製

という計算になります。

Anthropic社内で既に起きていること

さらに衝撃的だったのが、「これって単なる予測じゃなくて、もう起きてるんですよ」という話。

Amodei氏によると:

  • Anthropic社内のエンジニアリングリーダーの何人かが「もう自分でコードを書いてない」と言っている
  • 特にClaude Opus 4.5を使っているエンジニアから
  • 最近リリースした「Cowork」というツールは、約10日間でほぼ完全にClaude Codeで作られた
  • Anthropic社の新しいコードの「大部分」がAIによって書かれているという報道もあるが、実際の割合は社内のチームや状況によって異なる可能性がある

つまり、「将来そうなる」じゃなくて、「うちの会社ではもうかなりの部分でそうなってる」という主張のように読み取れます。

エンジニアの役割の変化

ただし、Amodei氏は「エンジニアの仕事がなくなる」とは言っていません。むしろ:

「エンジニアの役割は、ビルダー(作る人)からAIのマネージャー(管理する人)に変わる」

と述べています。コードを書く作業は減るけど、仕事自体がなくなるわけではない、という見立てです。

とはいえ、同時に「雇用への影響についてはかなり懸念している」とも発言しているので、完全に楽観視しているわけでもなさそうです。

Claude Codeって何?なぜそんなに強力なの?

ここで、Anthropicが最近リリースした「Claude Code」というツールについて説明しておく必要があります。これが、Amodei氏の予測の根拠になっているからです。

Claude Codeの特徴

Claude Codeは、ターミナル(コマンドライン)上で動くエージェント型のコーディングツールです。何ができるかというと:

  1. コードベース全体を理解する:プロジェクト全体を把握できる
  2. 複雑な変更を計画する:「これとこれを変えて、こういう機能を追加しよう」みたいな計画を立てられる
  3. 自律的にコードを書いてデバッグする:人間の指示を受けて、自分で考えながらコードを書き、動かして、エラーを直す
  4. Gitワークフローを処理する:コミット、プッシュ、プルリクエストまで自動でやる
  5. 自然言語でコマンドを受け付ける:「この機能を追加して」と普通の日本語や英語で指示できる

なぜ注目されているのか

シアトルのエンジニアたちが「新しいソフトウェア開発の時代だ」と騒いでいる理由は、「フィードバックループが閉じている」という点です。

従来のAIコーディングツールは: – 「こういうコードを書いて」→ AIがコードを生成 → 人間がコピペして実行 → エラーが出たら人間が報告 → また修正…

という感じで、人間が間に入る必要がありました。

しかしClaude Codeは: – 「こういう機能を作って」→ コードを書く → 自分で実行 → エラーを見る → 修正 → また実行…

というループを、人間の介入なしに何時間でも続けられるんです。

Pioneer Square Labsのプロダクトエンジニア、Carly Rector氏は「最大のポイントはフィードバックループを閉じたこと。自分でアクションを取り、その結果を見て、次のアクションを決められる」と説明しています。

実際の使われ方

興味深いのは、実際の使われ方です。

あるGoogleのプリンシパルエンジニアは「Claude Codeが1時間で、チームの1年分のアウトプットに匹敵する成果を出した」と証言しています(ただし、後に「toyバージョン」と補足しており、実プロダクションではないことに注意が必要です)。

また、開発者の多くが「もうClaude Codeなしには戻れない」と言っているそうです。

でも、本当にそんなことが可能なの?現実を見てみる

さて、ここまで聞くと「すごい!未来だ!」となりそうですが、ちょっと待ってください。批判的な視点も見ておきましょう。

過去の予測はどうだったのか

実は、Amodei氏は2025年3月にも似たような予測をしているんです。

その時も「6ヶ月以内にAIがコードの90%を書くようになる」と言っていました。つまり、2025年9月頃には実現しているはずだった。

結果はどうだったか?

2025年8月時点で、確かにAIツールの採用は進みました: – 84%の開発者がAIツールを使っているか、使う予定 – 51%が毎日使っている

でも、「90%のコードがAI製」には全然届いていません。Stack Overflowの調査によると、AIが生成したコードを「信頼している」と答えた開発者は33%、「高度に信頼している」はわずか2.6%にとどまっています。

業界からの反応

OpenAIの反論

面白いことに、競合のOpenAIのCOO、Brad Lightcap氏が2025年6月に反論しています。

「我々はその証拠を一切見ていない」と述べ、Amodei氏に「エビデンスベースのアプローチを取ってほしい」と皮肉を込めて言っています。

特に「エントリーレベルのホワイトカラー職の50%が消える」という予測については、データに基づいていないと批判しているわけです。

現役エンジニアの反応

Gen Zのエンジニアたちにこの予測について聞いた記事があるんですが、反応は「懐疑的」の一言。

インタビューの全編を見た後も、「AIが近いうちに自分たちを置き換えることはない」と確信しているエンジニアが多かったそうです。

メディアの指摘

IT Proというメディアは「Amodei氏の予測は現実にはほど遠い」と指摘しています。

理由として: 1. 利益相反:AIツールの開発者が自社製品を誇大宣伝する動機がある 2. 技術的制約:エネルギー消費など、大手テック企業がまだ解決できていない課題がある 3. 現実とのギャップ:「業界全体で90%」というのは、2025年時点では非現実的だった

じゃあ、実際に何が起きているの?

予測が外れたからといって、「何も変わっていない」わけではありません。むしろ、確実に大きな変化は起きています

新卒採用への影響

2023年から2024年にかけて、大手テック企業15社のエントリーレベル採用が25%減少しました。

理由は明確で、「AIツールによってタスクが自動化されたため、エントリーレベルの労働者を雇う必要が減った」というもの。

これは、2022年後半からの生成AI普及と時期が重なります。

役割の再定義

65%の開発者が「2026年に自分の役割が再定義される」と予想しています。

具体的には: – ルーティンのコーディングから離れる – アーキテクチャ、統合、AI支援の意思決定へシフト – キュレーター、レビュアー、インテグレーター、問題解決者としての役割が増える

つまり、「コードを書く人」から「何を作るべきか考え、AIが書いたコードをレビューし、統合する人」への変化です。

期待値の上昇

これが特に厳しいのですが、新卒に対する期待値が激増しています。

AIツールが「下積み仕事」をこなすようになったため、新卒のトレーニング期間が短縮され、ほとんどの企業が「すぐに貢献できる開発者」を求めているとのこと。

従来は3〜6ヶ月のトレーニング期間があったのに、今はそれがなくなりつつあるんです。

学習優先順位の変化

開発者の多くが、GenAIとAI/MLを2026年の重要な学習項目として挙げています。

もはや「AIツールを使えること」が必須スキルになりつつあるわけです。

長期的には何が起きるのか?2つのシナリオ

さて、ここまで見てきて、結局どうなるの?という話ですよね。

大きく分けると、2つのシナリオが提示されています。

シナリオ1:雇用減少説

投資家たちは「2026年はエージェントの年になる」と予測しています。

つまり、「人間の生産性を上げる」段階から、「仕事そのものを自動化する」段階へと移行する、と。

具体的には: – 既に11.7%の仕事がAIで自動化可能という推計 – 複数のベンチャーキャピタルが「2026年がAIによる置き換えの転換点」と指摘 – 2026年の予算は、労働力からAIへとシフトし始める

シナリオ2:雇用増加説

一方で、Morgan Stanleyの調査では真逆の予測が出ています。

「AIが人間の開発者を置き換えるどころか、生産性を向上させ、より多くの採用につながる」

根拠は: – CIOたちが2026年にソフトウェア支出を3.9%増やす計画 – ソフトウェア開発市場は年20%成長し、2029年までに610億ドル規模に – AIによって開発者はより戦略的で価値の高い仕事に集中できる

どっちが正しいの?

正直、まだ誰にもわからないというのが答えだと思います。

ただ、両方のシナリオに共通しているのは:

「エントリーレベルの仕事は確実に減る」 「求められるスキルセットが変わる」 「継続的な学習が必須になる」

という点です。

Nobel級AIという別の爆弾発言

ちなみに、Amodei氏はソフトウェアエンジニアリングだけでなく、もっと大きな予測もしています。

「2026年か2027年までに、多くの分野でノーベル賞受賞者レベルの能力を持つAIモデルが登場する」

これは、生物学、コンピュータサイエンス、数学、エンジニアリングなど、ほとんどの学術分野において、人間のトップレベルの知性に匹敵するか、それを超えるAIという意味です。

Anthropicはこれを「データセンターに存在する天才の国」と表現しています。数百万の専門家レベルのAIエージェントが、計算速度で同時に働くイメージです。

WEF 2026でも、2026年に入った今でも、彼は「2026年か2027年までに多くの分野でNobel級のモデルが登場する」という予測を維持しているとのこと。

ただし、彼のエッセイ「Machines of Loving Grace」では、もう少し慎重な表現も使っています:

「早ければ2026年に来る可能性があると思うが、もっと長くかかる可能性もある」

つまり、確信しているわけではなく、あくまで「可能性」として語っている部分もあるんですね。

僕が思うこと:予測と現実のズレから学ぶべきこと

さて、ここまで見てきて、僕が思うことをいくつか書いてみます。

1. ハイプサイクルを理解する

テクノロジーには「ハイプサイクル」というものがあります。

新技術が出る → 過度な期待 → 幻滅 → 実用化 → 成熟

という流れですね。

今のAIによるコーディング自動化は、たぶん「過度な期待」と「実用化」の間くらいにいるんじゃないかと思います。

Amodei氏の予測が「外れた」というより、予測のタイムラインが楽観的すぎたというのが正確でしょう。方向性自体は間違っていないと思うんです。

2. 自社データと業界全体は違う

Anthropicという会社は、AI開発のトップ企業です。最新のツールを最も効果的に使えるエンジニアが集まっています。

だから、「うちの会社では90%がAI製」というのは事実かもしれません。

でも、それを「だから全業界で同じことが起きる」と一般化するのは危険です。

ほとんどの会社は: – レガシーシステムを抱えている – セキュリティ要件が厳しい – エンジニアのスキルセットがまちまち – 組織の慣性が強い

といった制約があるので、Anthropicと同じスピードで変化できるわけではありません。

3. 「置き換え」ではなく「変化」

エンジニアの仕事が「なくなる」のではなく、「変わる」というのは重要なポイントです。

例えば、Excelが登場したとき、「経理の仕事がなくなる」と言われました。でも実際は、経理の仕事の内容が変わっただけで、経理職そのものはなくなっていません。

同じように、コーディングの仕事も: – 単純な実装作業は減る – アーキテクチャ設計や要件定義の重要性が増す – AIが生成したコードのレビューやデバッグが新しいスキルになる – プロダクト全体を見る視点がより重要になる

という変化が起きるんだと思います。

4. エントリーレベルの問題は深刻

一番心配なのは、新卒や未経験者がエンジニアになる道が狭くなっているという点です。

従来は: 1. 新卒で入社 2. 簡単なバグ修正やテストコード書きから始める 3. 徐々に難しい仕事を任される 4. 数年でミドルレベルになる

という成長パスがありました。

でも、AIが「簡単な仕事」を奪うと、この1〜2のステップがなくなってしまう。

すると、「経験者しか採用しない」→「未経験者が経験を積めない」→「将来の経験者が育たない」という悪循環に陥る可能性があります。

業界全体で、この問題にどう対処するかを考える必要がありそうです。

5. 学習し続けることの重要性

結局のところ、「継続的に学び続ける人が生き残る」というのは変わらない真実だと思います。

10年前のベストプラクティスに固執している人は、すでに厳しい状況です。それがAIの登場で、さらに加速しているだけ。

逆に、新しいツールを積極的に試し、自分のワークフローに取り入れられる人は、生産性が爆上がりしているはずです。

これからエンジニアを目指す人、現役エンジニアの人へ

最後に、実際にエンジニアとして働いている人、これからエンジニアになろうとしている人に向けて、いくつかアドバイスを。

1. AIツールを使いこなそう

これはもう必須です。

Claude Code、GitHub Copilot、Cursor、v0など、AIコーディングツールはたくさんあります。

「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIを使いこなせない人が、AIを使いこなせる人に置き換えられる」というのが正確な表現だと思います。

2. 「なぜ」を考えるスキルを磨こう

AIは「どうやって作るか」は得意ですが、「何を作るべきか」「なぜ作るのか」を考えるのは苦手です。

プロダクトの方向性、ユーザーのニーズ、ビジネス価値といった上流の部分を考えられるエンジニアは、ますます価値が高まります。

3. 幅広い知識を持とう

「フロントエンドだけ」「バックエンドだけ」ではなく、全体を見渡せる力が大事になります。

AIがコードを書いてくれるなら、むしろエンジニアは: – UI/UXデザイン – データベース設計 – インフラ – セキュリティ – ビジネスロジック

といった複数の領域を横断的に理解し、統合する役割に移行していくでしょう。

4. コミュニケーション能力を高めよう

意外かもしれませんが、AIツールを使いこなすには、適切に指示を出す言語能力が必要です。

また、AIが書いたコードをチームメンバーに説明したり、なぜこのアプローチを選んだのか説明したりする場面も増えます。

「コードが書ければいい」という時代から、「コードの意図を説明できる」時代へ。

5. 基礎をおろそかにしない

AIツールに頼りすぎて、基礎的なアルゴリズムやデータ構造の理解が浅いと、AIが出力したコードの良し悪しを判断できません。

むしろ、AIが普及した今だからこそ、基礎理論をしっかり理解している人の価値が上がると思います。

まとめ:12ヶ月以内の完全自動化は起きないけど、変化は確実に進んでいる

長々と書いてきましたが、結論をまとめます。

Amodei氏の「12ヶ月以内に完全自動化」という予測は、おそらく実現しません。

理由は: 1. 過去の予測も外れている 2. 業界全体のデータがそれを裏付けていない 3. 技術的・組織的な制約がまだ多い

でも、大きな変化は確実に起きています。

  • Anthropicのような先進企業では、既にコードの大部分がAI製
  • エントリーレベルの採用は25%減少
  • 開発者の役割が「コーダー」から「AIマネージャー」へシフト中
  • 新卒に求められるスキルレベルが上昇

そして、この流れは止まりません。

Amodei氏の予測のタイムラインは楽観的すぎるかもしれませんが、方向性自体は正しいと思います。

3年後、5年後には、今では想像できないほどAIが開発プロセスに統合されているでしょう。

だからこそ、今から準備を始めるべきです。

AIを恐れるのではなく、AIを使いこなす。 コードを書くスキルだけでなく、問題を定義し、解決策を設計し、実装を評価するスキルを磨く。 そして、変化を楽しむマインドセットを持つ。

そういう姿勢でいれば、むしろチャンスの時代なんじゃないかと思います。

ソフトウェアエンジニアリングは終わらない。ただ、新しい形に進化するだけ。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!


参考資料・Sources

この記事を書くにあたり、以下の情報源を参照しました:


この記事は2026年1月時点での情報に基づいています。AI技術は急速に進化しているため、状況は変わる可能性があります。

当社サイトでは他にもビジネスに役立つ情報を発信しています。ぜひ、他記事もチェックしてくださいね。

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貝出康

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貝出康

1963年徳島市生まれ。 1999年に楽天の三木谷社長の講演を聴き、イン ターネット時代の到来を悟る。翌年、ホームペ ージ制作会社カンマン設立に参画し、これまで のキャリアで培った営業や人事のスキルを活か しての顧客開拓や社内・労務管理を実践。2019 年〜代表取締役。