徳島開催Microsoft Copilotセミナー|経営者の3論点
公開日:2026年08月24日

代表取締役
貝出康

「Copilot、契約はしてるんですよ。でも、社内で誰も使ってないんです」
これ、この1年で徳島の経営者から一番多く聞いた言葉です。導入前の相談じゃありません。導入したあとの相談。しかも、だいたいこう続くんですよ。「担当者に調べておいてって言ってるんですけど、進まないんですよね」って。
9月8日(火)に徳島経済産業会館で開くMicrosoft Copilotセミナーは、まさにここを狙っています。表のタイトルは「話しかけるだけ、AIが資料やレポートを完成させる!」。でもサブタイトルは「経営者が知っておきたい生成AIセミナー」なんです。
なぜ経営者向けなのか。理由はひとつで、これから書く3つの論点が、全部「担当者に降ろせない意思決定」だからです。
「契約はしたけど、誰も使っていない」——それ、毎月お金が出ています
徳島でいま一番多い相談は、導入したあとに来る
私はカンマンでAI研修とWebマーケティング支援をやっていて、徳島の中小企業の現場に週に何度も入っている立場です。だからこそ言えるんですが、この1年で相談の質が変わりました。
去年までは「AIって何ができるの?」でした。いまは違います。「入れたのに動かない」なんです。
Microsoft 365を全社で契約している。だからCopilotの入口も社員の画面に出ている。なのに、開いた人が数人しかいない。開いた人も「なんか賢い検索エンジンだな」で終わって、それ以降触っていない。——こういう状態です。
ひとつ先にお断りしておくと、うちの社内はGoogle Workspace環境で、Microsoft Copilotを日常業務で使っているわけではありません。この記事に書くCopilotの話は、全部、導入支援先と研修先で見てきたことです。自分の社内の自慢話ではないので、そこは安心して読んでください。
使われていないライセンス料は、静かに埋没原資になる
ここが経営者にしか刺さらない話なんですが、Microsoft 365のライセンス料は、使っても使わなくても毎月同じ額が出ていきます。
社員が20人いて、そのうち3人しか生成AIの機能に触っていないとしたら、残り17人分は「払っているのに回収できていない」状態です。設備を買って倉庫に置いたままにしているのと、経理上の意味はあまり変わりません。違うのは、倉庫の機械は目に見えるのに、使われていないライセンスは誰の目にも入らないという点です。
しかもこれ、赤字にならないので気づかない。損益計算書には「通信費」や「支払手数料」として、去年と同じ顔で並んでいるだけです。
だから私は、経営者の方にこう聞くようにしています。「その契約、去年より社内の作業時間をどれだけ減らしましたか?」って。答えられる会社は、正直、まだ少ないです。
追加費用なしで取り戻せる範囲は、公式にちゃんと決まっている
ここで「じゃあ有償のアドオンを買い足せば動くんですか」と聞かれるんですが、順番が逆です。
まず整理したいのは製品名です。2026年8月時点の現行名称は「Microsoft Copilot」。以前は「Microsoft 365 Copilot」と呼ばれていて、購入画面にはいまも旧名称が残っています。同じものを指す言葉が2つ流通しているので、社内で話が噛み合わないのは、ある意味当然なんですよ。
そのうえでMicrosoftの公式ドキュメントは、こう書いています。「Microsoft Copilot は組織のデータとWebを使う。アドオンライセンスが必要。Microsoft Copilot Chat はWebを使い、ユーザーが組織のデータを提供できる。追加ライセンスは不要」。
つまり2階建てなんです。追加費用なしの1階部分にも、いまの契約のまま使える機能がちゃんとある。 そこを1円も使わずに、2階の見積もりを取りに行くのは、順番として損です。
この記事で押さえてほしい3つ
- 埋没原資:すでに払っているライセンス料には、追加投資ゼロで回収できる範囲が公式に決まっている
- 降ろせない判断:プラン選択・全社展開・助成金申請は、担当者に「調べておいて」で片づかない経営の仕事
- 前提の変更:AI研修と助成金の関係は、2026年8月3日の改正で線引きが変わった
人を増やして解決する未来は、徳島の数字の上に存在しません
徳島の生産年齢人口は、2040年に2020年の約7割になる
「人が足りないから、AIより先に採用でしょう」——これもよく言われます。気持ちはすごく分かるんですが、数字を並べると別の景色になります。
国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)』(2023年12月公表)による、徳島県の生産年齢人口(15〜64歳)の推移がこれです。
| 年 | 徳島県の生産年齢人口(15〜64歳) |
|---|---|
| 2020年 | 395,215人 |
| 2030年 | 339,887人 |
| 2040年 | 277,811人 |
社人研は2020年を100とした指数も出していて、徳島県の2040年は約70です。
もっと先まで見ている資料もあります。徳島県自身の計画書には、県内の生産年齢人口が2020年の約40万人から2050年に約22万人(46.6%)まで減ると書かれています。社人研の地域別推計とは別系列の数字ですが、向きは同じですね。2040年で7割、2050年で半分以下。
採用の競争が激しくなる、という話ではありません。母集団そのものが縮む前提で、会社の回し方を組み直すという話です。
徳島県自身も、県政の最上位計画である「徳島新未来創生総合計画」で「人口減少に伴う労働力不足や過疎化といった『静かなる有事』が進行し…今後10年が地方の正念場」と書いています。県が公式文書で「静かなる有事」と言っている。
徳島の雇用を背負っているのは、23,237社の中小企業
もうひとつ、徳島の構造を示す数字を出します。中小企業庁「都道府県・大都市別企業数」(令和3年経済センサス-活動調査の再編加工)によると、徳島県の企業数は中小企業23,237社(うち小規模20,414社)、大企業22社、合計23,259社です。
常用雇用者数は、中小企業123,765人に対して大企業18,491人。
この2つの数字を並べると、言いたいことは一行で済みます。徳島の雇用は、中小企業が背負っている。 大企業の生産性が上がっても、徳島で働いている人の暮らしはあまり変わらないんです。逆に言えば、中小企業の一社一社が少しずつ楽になることの合計が、この県の体力そのものになります。
全国の人手不足感も、いまは景気の波で上下する水準を離れて、定着した高さになっています。帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」では、正社員が不足していると感じる企業が51.3%、非正社員が28.8%。7月としては4年連続で5割を超えました。
中小企業庁『2026年版中小企業白書』も、基本認識として「労働供給制約社会の到来」を掲げ、「現状維持は最大のリスク」と書いています。
だから残るレバーは、一人当たり生産性しかない
人が増えないなら、動かせるのは一人当たりの生産性だけです。そして日本のその数字は、あまり良くありません。
日本生産性本部『労働生産性の国際比較2025』(2024年データ・2025年12月公表)によると、日本の時間当たり労働生産性は60.1ドル(5,720円)でOECD加盟38カ国中28位。一人当たりは98,344ドル(935万円)で29位、主要先進7カ国では最下位です。
順位の推移も出ています。2018年21位 → 2020年28位 → 2024年28位。順位が下がった主因は、他の国が伸びたことです。日本の生産性そのものが急に落ちた、という読み方は正確ではありません。
そして中小企業の経営者にいちばん直接関わるのが、この一枚です。『2026年版中小企業白書』第1-1-26図の付属データを見ると、従業員一人当たりの付加価値額でみる労働生産性は、2024年度で大企業1,666.1万円、中規模企業608.5万円、小規模企業537.6万円でした。1990年度はそれぞれ1,158.6万円、600.8万円、551.0万円です。大企業は30年で500万円以上伸びたのに、中小企業はほとんど動いていない。これが「格差が縮まっていない」の中身です。なお白書の区分でいう大企業は資本金10億円以上、中規模企業は1千万円以上1億円未満で、資本金1億〜10億円の企業はどちらの区分にも入っていません。
徳島の雇用を背負っているのは、さきほどの23,237社の中小企業側です。つまりこの県で働く人の大半が、生産性の伸びから取り残されている層に属しているということになります。
ここで「じゃあ社員に頑張ってもらおう」に行くと、また人の話に戻ってしまいます。変えるのは頑張りの総量ではありません。一人が同じ時間で出せる量そのものです。そこがAIの使いどころなんですよ。
それでも打ち手は「採用」に寄っています
日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(2023年7〜8月調査・n=2,121・複数回答)に、少し背筋が寒くなるデータがあります。
人手不足への対策として最も多かったのは「正社員の採用活動強化」で68.5%。一方、「業務プロセスの見直し」は33.2%、「社員の能力開発」は28.9%、「IT化等設備投資による生産性向上」は25.2%にとどまりました。
複数回答なので、採用を選んだ会社がAI活用を捨てた、という読み方はできません。ただ、生産性向上側の打ち手が相対的に手つかずのまま残っているとは言えます。調査時点が生成AI普及の初期(2023年夏)である点も、あわせて見てください。
母集団が縮む前提の徳島で、打ち手がここまで採用に寄っている。ここを動かすかどうかは、社長の判断そのものです。 現場の担当者が勝手に方針を変えられる話ではありませんよね。
プラン選択・全社展開・助成金申請は、現場に降ろせません
生成AI利用86.4%の裏にある「組織的な取組はない」27.0%
ここがこの記事のいちばんの山場です。
総務省『令和8年版 情報通信白書』によると、自社の何らかの業務で生成AIを利用している企業の割合は、日本で86.4%。前年度の55.2%から一気に上がりました。米国90.9%、ドイツ91.6%、中国98.1%なので、数字だけ見れば日本も追いついたように見えます。
ところが同じ白書の別の図を見ると、話が変わります。「組織的な取組はない」と答えた割合が、日本は27.0%で他の3か国より顕著に高く、しかも中小企業で特に高い。
さらに、生成AIの活用方針(積極的に活用+領域を限定して利用)を持っている企業の割合は、大企業74.0%に対して中小企業58.1%。そして中小企業庁『2026年版中小企業白書』第2-2-87図では、中小企業のAI活用取組状況は全体で約3割にとどまっています。
この4つの数字を順番に並べると、日本の中小企業の現在地が見えてきます。個人は使っている。でも会社としては使っていない。
社員が自分のスマホやブラウザで勝手に使っている状態と、会社が方針を決めて業務に組み込んでいる状態は、まったく別物です。前者は成果が個人の中に溜まって終わります。転職したら消えます。
社員が個人アカウントで使っていないか、一度確認してください
- 同名の別物:同じ「Microsoft Copilot」の名前で、個人用(Microsoftアカウント)と法人用(Entra IDサインイン)の2つが存在する
- 保護の前提:法人向けの保護は、Entraアカウントでのサインインを前提に説明されている
- 確認方法:社員がどちらでサインインして使っているか、まず情報システム担当と棚卸しする
「調べておいて」が返ってこない3つの理由
多くの経営者が最初にやるのは、若手やIT担当への丸投げです。私も何十回も見ました。そして、ほぼ返ってきません。理由は、投げている問いそのものの性質にあります。担当者の能力の問題ではありません。
ひとつめ。プランが複雑で、「うちはどれに当たるか」の答えが担当者の権限の外にあるからです。前提となるMicrosoft 365のプランは何契約か、アドオンを何人分買うのか。これは予算の話です。調べれば答えが出る種類の問いではありません。詳しいプランの比較そのものは別記事に整理してあるので、予習したい方はMicrosoft Copilotの料金を全プラン比較するを見てください。
ふたつめ。全社展開は人選になるからです。有償アドオンを20人全員に配るのか、まず5人に配るのか。5人にするなら誰か。「誰にAIを持たせるか」は、業務の優先順位の宣言そのものです。担当者が決められる話ではありません。
みっつめ。助成金は会社としての申請行為だからです。計画届を出すのも、雇用保険被保険者を対象労働者として選ぶのも、法人としての意思決定です。
そもそも「CopilotなのかGoogle Workspaceなのか」という一段手前の分岐で止まっている会社もあります。そこは法人で生成AIを選ぶならCopilotかWorkspaceかという判断に整理しました。
追加費用なしでできること/有償で変わること
第1講座で扱うのが、ここです。使うのは料金表の読み上げではありません。「いまの契約のままどこまで行けて、どこから先はお金の話になるのか」の線引きを引く時間です。
Microsoft公式の比較記述をもとに整理すると、こうなります。
| 論点 | 追加費用なしの枠(Microsoft Copilot Chat) | 有償アドオン(Microsoft Copilot) |
|---|---|---|
| Web上の情報をもとにした回答 | 使える | 使える |
| 手元でアップロードしたファイルの処理 | 使える(公式表記は「Limited (uploaded files)」) | 使える |
| 社内データ横断(会議・メール・チャット・ファイル) | 使えない | 使える(公式表記は「Full (meetings, emails, chats, files, and more)」) |
| Word・Excel・PowerPointのファイル生成エージェント | 使える。ただし参照範囲はWebと明示指定したファイルに限られる | 使える。参照範囲が社内のファイル・メール・チャット等まで広がる |
| Word・Excel・PowerPointのチャットパネル | 組織のライセンスとテナント構成によって2通りに分かれる(次項参照) | 使える |
| TeamsのAI議事録(intelligent recap) | 使えない(Teams PremiumまたはCopilotライセンスが必要) | 使える |
| 高度なエージェント(Researcher・Analyst等) | 使えない | 使える |
| 混雑時の応答 | 標準(混雑時は制限されることがある) | 優先 |
| セキュリティ | エンタープライズグレード | エンタープライズグレード |
見てほしいのは、上から4行目です。アプリの中でファイルそのものを作らせる機能は、追加費用なしのユーザーにも公式に開かれています。 公式ドキュメントにも「available to Microsoft 365 users with or without a Microsoft Copilot license(Microsoft Copilotライセンスの有無を問わずMicrosoft 365ユーザーが利用できる)」と書かれています。ただし参照できるのはWebと明示指定したファイルだけで、社内データ横断ではない。ここを混ぜると期待値がずれます。
Wordのパネルに出ているラベルを見てください
表の5行目、「2通りに分かれる」がいちばん厄介です。ここを一般論で断定している記事が本当に多いので、正確に書きます。
Microsoftの公式ドキュメントは「Word、Excel、PowerPoint、OneNoteにおけるCopilotのエクスペリエンスは、組織のライセンスとテナント構成により異なる場合がある」とした上で、ユーザーが自分の状態を見分けられるようにアプリ内にラベルを出すと説明しています。ラベルは3種類です。
「M365 Copilot (Premium)」は有償アドオンあり、フル機能と優先アクセス。「M365 Copilot (Basic)」は有償アドオンなしでも、これらのアプリのCopilotに標準アクセスあり。「Copilot chat (Basic)」は有償アドオンなしで、かつアプリ内のCopilotチャットは使えない。
つまり、「無料だとWordの中でCopilotは使えない」という説明は、公式には正しくありません。 アドオンなしでも標準アクセスがある状態が存在します。どちらになるかは自社のテナント構成次第です。
だから答えは検索では出ません。御社のWordを開いて、Copilotのパネルに何と書いてあるかを見る。それが唯一の確認方法です。セミナーでも、まずここを見てくださいという案内から入ります。
経営者本人が9月8日に決める3つの論点
- 線引き:いまの契約のまま使える範囲と、追加費用が必要な範囲のどちらに自社の課題があるか
- 人選:最初にAIを持たせる部署と人数を、業務の優先順位から決める
- 研修の形:どの業務の担当者に、どの作業を教える研修を組むか(助成金の可否がここで決まる)
「話しかけるだけ」が実際に何を指すのか
Word:白紙から下書きを起こす、長い文書を要約する
第2講座は、松本佳久が実際にWord・Excel・PowerPointを動かすライブ実演です。私は書く側なので当日は登壇しませんが、内容の骨格は共有してもらっています。
Wordでいちばん体感が変わるのは、白紙から下書きを起こす機能です。既存のファイルを参照させながら書かせられて、公式ドキュメントによると参照できるのは最大20アイテム、形式はWord・PowerPoint・PDF・TXTです。
具体的には、去年の提案書と今年の商品資料を参照させて、新しい提案書のたたき台を出させる。あるいは社内通知文を、過去の文書のトーンに寄せて書かせる。この「たたき台まで」がいちばん時間を食っていた工程です。ここが縮むと、着手から初稿が出るまでの時間がはっきり短くなります。
要約も同じパネルからできます。ただし公式の注記によると、自動で要約を生成させるには元の文書に最低200語が必要とのことでした。
なお会議の文字起こしから議事録を作る工程は、この記事では深追いしません。あれは工程が独立していて、様式維持と発言との照合という別の壁があるからです。そこだけを扱う9月1日の議事録実演セミナーの記事を用意してあるので、議事録が主戦場の方はそちらを読んでください。
Excel:シートの編集と数式、グラフとピボットテーブル
Excelでできることは、公式の記述だとかなり広いです。ワークシートの追加・名前変更・削除、セルの値や範囲の変更、条件付き書式やデータの入力規則の適用。プロンプトからのデータ生成、複数シートにまたがる計算と数式の適用、データの要約。グラフ・ピボットテーブル・図形の作成と編集まで入っています。
ただ、ここで釘を刺しておきたいことがあります。セルの中にプロンプトを書く「COPILOT関数」がSNSで話題になりましたよね。あれはFrontierプログラムとインサイダープログラム限定の機能で、2026年9月14日に提供終了となります。 通常のライセンスを買った手元では、そもそも動かない可能性が高いんですよ。
そして公式自身が、精度についてこう書いています。正確さや再現性が求められる作業には、SUMやAVERAGEやIFといったネイティブのExcel数式を使うこと。AIには数式や集計の段取りを作らせて、計算そのものはExcelにやらせる。数字自体をAIに書かせない。この線を守るかどうかで、Excelは武器にも事故にもなります。
PowerPoint:Wordファイルからスライドを起こす
PowerPointは、プロンプトやWordファイルからプレゼンテーションを新規作成できます。法人向けではPDFも使えます。元にするWord文書は24MB未満だと動きが良い、という目安も公式に書かれていました。
注意点も公式に明記されています。ひとつは、この機能の出力はAI生成コンテンツであり、人が確認して編集すべきものだという注記。もうひとつは、スライド追加やファイルからのプレゼン作成など、一部の機能はDesignerライセンスも必要になるという記述です。
「話しかけるだけで資料が完成する」は、正確には「話しかけるだけで、直せる状態のたたき台が出てくる」です。ここを盛らないのが、うちのセミナーの方針でもあります。
英国政府が公務員約2万人で試した「1日26分」と「17%は実感なし」
効果の数字は、いちばん条件がはっきりしているものを出します。英国政府(Government Digital Service)が公務員約2万人・12組織を対象に3か月行った実証で、試行期間は2024年9月から12月、報告の公表は2025年6月です。
参加者の自己申告で、1日平均26分の時間削減。年間換算で13日相当。3分の1超が1日30分以上の削減を報告しました。70%超が「情報検索や単調作業の時間が減り、戦略的活動の時間が増えた」と答え、82%が導入前の働き方には戻りたくないと回答しています。
ここで大事なのは、この26分が実測ログではないという点です。参加者の自己申告ですし、対象は英国の公務員です。日本の中小企業でも1日26分減る、という一般化はできません。
そして同じ報告書はこうも書いています。17%は明確な時間削減を認識していません。 複雑な業務やニュアンスを要する業務、データ量の多い業務では効果が限定的で、常に人間の監督が必要だと結論づけています。
この2つはセットで読むべき数字です。8割が元の働き方に戻りたくないと言うほど時間が減った人がいて、同時に2割弱は減ったと感じていない。だから正しい設計は「全員に配る」ではありません。時間が減る業務を先に見つけて、そこから配ることです。 ちなみにこの英国政府の調査は、総務省の公式調査研究報告書にも引用されています。
「話しかけるだけ」を導入する前の前提
- 出力は下書き:Microsoft公式も、生成された内容は人が確認して編集すべきものだと明記している
- 変化が出ない人もいる:英国政府の実証では17%が明確な時間削減を認識していない
- 数字はExcelに任せる:公式が「正確さや再現性が要る計算はネイティブ数式で」と書いている
「AI研修に助成金」の前提が、2026年8月3日に変わりました
厚生労働省の改正資料が、生成AI研修を名指しで例示した
第3講座は、共催の社会保険労務士法人アイフォレストから平川千夏が登壇して、AI導入・研修に活用できる助成金の最新情報を解説します。そしてこの「最新」が、今年は本当に最新である必要があるんですよ。
2026年8月3日(令和8年8月3日)付で、人材開発支援助成金の取り扱いが変わりました。厚生労働省の改正リーフレット(資料番号LL080803開企01)が、よりによって生成AI研修そのものを、対象になる例と対象にならない例の見本として載せています。原文のまま引きます。
| 訓練の例(厚労省の原文) | 判定 | 理由(厚労省の原文) |
|---|---|---|
| 「生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練」 | 助成対象 | 「営業担当者の具体的な業務に直結しており、そのまま活用可能な内容であるため助成対象」 |
| 「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」 | 助成対象外 | 「特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため助成対象外」 |
| 「DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練」 | 助成対象外 | 「DX化・GX化を進める上での共通知識の習得にとどまり、具体的作業として業務に直接適用される内容ではないため助成対象外」 |
同じ資料は判断軸を3つ挙げています。原文で「特定の職業、または職務に必要となる知識・技能を習得するためのものか」「マナー、リテラシー、概念理解にとどまっていないか」「訓練内容に沿って対象労働者を選定しているか」。
つまり、同じ「生成AI研修」でも、業務に紐づいているかどうかで結論が逆になります。 判定の対象は研修の中身です。だから講座名を工夫して通す、という話にはなりません。「AI入門」「生成AIリテラシー講座」という組み方をした研修は、この線引きの向こう側です。
「別のコースなら通るのでは」も、もう成立しません
ここでよく聞かれるのが「じゃあ別のコースで申請すればいいのでは」です。それも通りません。
8月3日の改正の正体は、「事業展開等リスキリング支援コースが厳しくなった」ではないんです。同コースの詳細版パンフレット(PL080803開企04)には、除外項目として「職業、または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させる内容のもの」「職業、または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるもの」が挙げられ、それぞれに「令和8年8月3日以降に提出する計画では、DX・GX化に関する訓練であっても対象外となります」という注記が付きました。
一方、人材育成支援コースのパンフレットには、同じ除外項目が以前から存在していて、DX・GXの例外規定はそもそもありません。
並べると分かります。8月3日の改正は、DX・GX訓練にだけ認められていた例外を消して、他のコースと同じ土俵に載せた改正です。 だから「別のコースなら」という逃げ道は、構造的に存在しません。
汎用のAI研修そのものと助成金の関係については生成AI研修と助成金活用についてにも書いていますが、8月3日以降はこの記事の線引きが上書きされる前提で読んでください。
金額より先に、順番でつまずきます
助成金の相談で一番多い失敗は、金額の勘違いではありません。手続きの順番です。
事業展開等リスキリング支援コースの要件は、原文で「訓練時間数が10時間以上の訓練であること」「OFF-JTを行うこと」「対象労働者の職務に直接関連する訓練であること」。対象労働者は雇用保険被保険者です。
そして計画届の提出期限は、原文で「訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間」。1か月前までに出せばいい、ではありません。早すぎる提出も期間外です。二次情報のサイトでは片側だけ書かれていることが多いので、ここは原文で覚えてください。
助成率は、同コースの中小企業で経費助成75%(2026年8月時点)。よく見かける「最大75%」は他のコースとの混同で、同コースは賃金要件による上乗せがありません。そして同コースは原文で「令和4年~8年度の期間限定の助成金として創設しました」とあり、令和8年度末までの時限措置です。
ただし、助成金そのものが年度末で消えるわけではありません。人材育成支援コースには時限措置の注記がなく、令和8年度末以降も続きます。時限措置が付いているのは、事業展開等リスキリング支援コースと人への投資促進コース(定額制訓練)です。
国の他制度も整理しておきます。デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)はITツール導入向けで、研修費やセミナー受講料は対象外。ものづくり・事業再構築・省力化の各補助金も設備投資向けで、研修費は対象になりません。今回確認した4制度はいずれも研修費が対象外でした。研修費を見るなら、人材開発支援助成金の系列が中心になります。
もうひとつ。厚生労働省自身が、こういう勧誘を名指しで警告しています。「助成金を活用して従業員に訓練を実質無料で受けさせることができるなどと謳い、本来受けることができない助成金・訓練の提案・勧誘を行う訓練機関やコンサルティング会社などが存在している」。だからうちは「実質無料」という言い方をしません。
徳島市にも徳島県にも、人材育成やDXを対象にした制度が実際に動いています。ただし徳島市の人材育成支援事業補助金は対象が「公的機関や先進的な取り組みを行う大学・研究機関等が主催する研修等」で、民間主催のセミナーが対象になるかは市への確認が必要です。徳島県の建設産業DX推進人材育成費補助金は建設業限定。とくしま産業振興機構の令和8年度 生成AI活用促進事業補助金は2026年8月19日で公募が終了しています。御社がどれを見るべきかは、業種と主催者と時期で変わります。
助成金の話でやってはいけない3つ
- 順番を逆にしない:国も市も、研修を申し込む前に届出や交付決定を受けるのが原則
- 併給に注意:原文で「同一の経費、賃金、訓練実施を対象として他の助成金や補助金等を申請する場合、どちらか一方しか支給されない場合があります」
- 使える枠組み:セミナーで方針を決め、そのあとに組む社内研修プログラムで助成金を検討する。これが正しい順番です
9月8日の90分で、何を決めて帰るか
90分の中身と、登壇する3人
日時は2026年9月8日(火)14:30〜16:00、開場は14:00です。会場は徳島経済産業会館(KIZUNAプラザ)3階 会議室1、徳島市南末広町5-8-8。徳島経済産業会館での会場開催です。
第1講座(14:30〜15:00)はMicrosoft Copilotの基本知識。複雑なプランと機能、Copilotチャットと法人利用のメリットを、カンマン生成AI事業部の田中健介が整理します。この記事で書いた「追加費用なしでできること/有償で変わること」の線引きの部分です。
第2講座(15:00〜15:45)はCopilotとOfficeソフトのライブ実演。Word・Excel・PowerPointを、生成AI事業部責任者の松本佳久が実際に動かします。「話しかけるだけ」が実際に何を指すのかを、実際の画面で確かめる時間です。
第3講座(15:45〜16:00)は助成金活用。共催の社会保険労務士法人アイフォレストから平川千夏が、AI導入・研修に活用できる助成金の最新情報を解説します。この記事で書いた8月3日改正が、ここで扱われる論点です。
持ち物は筆記用具だけ。業種不問、AIを触ったことがない方も
参加費は無料。先着22名、1社2名までです。3名以上での参加をご希望の場合は、088-611-2333へお電話でご相談ください。
持ち物は筆記用具のみ。PCやスマホは必須ではありません。実演は前で見ていただく形なので、自分の端末で操作についていく必要はないです。
業種の限定もありません。製造業でも小売業でも士業でも、Word・Excel・PowerPointを使っていれば射程に入ります。そしてAIを一度も触ったことがない方が対象に入っています。むしろ、まだ触っていない会社のほうが、この90分の情報量は大きいはずです。
受講者の声と、3大特典
過去の受講者からいただいた声を、原文のまま3件紹介します。
【小売業】「システム関連のトラブル対応、お客様対応ツールを構築中です!」
【製造業】「完全に自己流で使用していたため、『こんな使い方ができるのか!』という気付きがたくさんあった。」
【士業】「未経験だったけど、指示の仕方を知ってるか知らないかで、大きく変わるのを感じた。」
3件目が、私がいちばん大事だと思っている声です。結果を変えているのは、AIの性能差より指示の仕方の差です。 ここが分かると、社内展開の設計がまるっと変わります。
参加者への3大特典は、①御社専用AIへの無料カスタマイズ ②後日30分の無料個別相談(希望者のみ)③AI導入に活用できる助成金の無料診断(共催の社労士法人が担当)です。
なお、これまで徳島の中小企業330社以上が受講、満足度97.8%という数字を案内していますが、これは自社セミナー参加者アンケートに基づく自社公表値(カンマン調べ)です。第三者機関の調査ではありません。
白書が出している答え:研修会や勉強会も併せて実施することが重要
最後に、この記事でいちばん引きたかったデータを置きます。
中小企業庁『2026年版中小企業白書』第2-2-91図は、研修会や勉強会に「取り組んでいる」事業者は、取り組んでいない事業者と比べてAI活用の効果実感が高いと示していて、白書自身が「研修会や勉強会も併せて実施することが重要」と結論づけています。同白書は、省力化投資(AI活用・ITツール活用)に取り組んだ事業者が「効率的成長型」の類型へ移動する傾向にも触れ、労働生産性が向上している可能性を指摘しました。
ツールを買うだけでは足りない。人が集まって使い方を確認する場が要る。これ、国が調べて出した結論なんですよ。
だから9月8日の90分は、Copilotの機能紹介を聞く時間ではありません。この記事の3つの論点——いまの契約で取り戻せる範囲はどこか、誰に最初に持たせるか、どの業務の研修なら助成金の線引きの内側に入るか——に、御社の答えを書いて帰る時間です。 90分で決めきれなくても、決めるべき問いが3つに絞れれば、月曜からの動きが変わります。
徳島の生産年齢人口が減っていく前提は、もう動きません。動かせるのは、そこに向けた準備の速さだけです。
参考・出典
人口・雇用・企業数の統計
- 国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)』結果表2-2(2023年12月22日公表) https://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson23/2gaiyo_hyo/kekkahyo2_2.xlsx
- 中小企業庁「都道府県・大都市別企業数」(令和3年経済センサス-活動調査 再編加工) https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/dl/kigyou1.xlsx
- 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」(2026年8月17日公表) https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260817-laborshortage202607
- 日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(2023年7〜8月調査・n=2,121) https://archive.jcci.or.jp/20230928_diversity_release.pdf
- 徳島県「徳島新未来創生総合計画」 https://www.pref.tokushima.lg.jp/kenseijoho/kenseisogo/sogokeikaku/7238407
生産性と生成AI活用の白書・調査
- 日本生産性本部『労働生産性の国際比較2025』(2024年データ・2025年12月22日公表) https://www.jpc-net.jp/research/detail/007846.html
- 中小企業庁『2026年版中小企業白書』第1-1-26図 付属データ(財務省「法人企業統計調査年報」) https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/chusho/excel/b1_1_26.xlsx
- 中小企業庁『2026年版中小企業白書』第2-2-87図・第2-2-91図 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/chusho/b2_2_2.html
- 総務省『令和8年版 情報通信白書』図表Ⅰ-2-1-2/Ⅰ-2-1-3/Ⅰ-2-1-6 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/n1210000.pdf
- 英国政府(Government Digital Service)”Microsoft 365 Copilot Experiment: Cross-Government Findings Report”(2025年6月2日公表) https://www.gov.uk/government/publications/microsoft-365-copilot-experiment-cross-government-findings-report/microsoft-365-copilot-experiment-cross-government-findings-report-html
- 総務省(委託先:NTTデータ経営研究所)令和8年版情報通信白書 基礎調査 成果報告書(2026年3月) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/r08_02_houkoku.pdf
Microsoft公式と厚生労働省の資料
- Microsoft Learn「What is Microsoft Copilot?」(アプリ内ラベル3種の定義) https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-365/copilot/microsoft-365-copilot-overview
- Microsoft Support「How Copilot Chat works with and without a Microsoft Copilot license」 https://support.microsoft.com/en-us/topic/how-copilot-chat-works-with-and-without-a-microsoft-365-copilot-license-5810b659-fbe0-48ee-9fe6-d731fe86cdeb
- Microsoft Support「Draft and add content with Copilot in Word」(参照上限20アイテム) https://support.microsoft.com/en-us/word/copilot/draft-and-add-content-with-copilot-in-word
- Microsoft Support「Get started with Copilot in Excel」/「COPILOT function」(2026年9月14日終了) https://support.microsoft.com/en-us/excel/functions/copilot-function
- Microsoft Support「Create a presentation from existing files」 https://support.microsoft.com/en-us/topic/create-a-presentation-from-existing-files-beb15deb-3241-4711-a480-9cbd8dc4d755
- 厚生労働省 改正リーフレット「令和8年8月3日からの変更点について」(LL080803開企01) https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf
- 厚生労働省 人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース パンフレット(PL080803開企04) https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf
- 厚生労働省 人材開発支援助成金 人材育成支援コース パンフレット(PL080803開企01) https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf
- 徳島市「中小企業等人材確保・育成支援事業補助金」 https://www.city.tokushima.tokushima.jp/shisei/keizai/jigyosha/tyusyokigyo/jinzai_shien/chushou_ikusei.html
- 徳島県「建設産業DX推進人材育成費補助金」 https://www.pref.tokushima.lg.jp/jigyoshanokata/kendozukuri/kensetsu/7310826
- 公益財団法人とくしま産業振興機構「令和8年度 生成AI活用促進事業補助金」(2026年8月19日公募終了) https://www.our-think.or.jp/329216
よくある質問
Q. Microsoft Copilotセミナーは、AIを触ったことがない経営者でも参加できますか? A. できます。持ち物は筆記用具のみで、PCやスマホは必須ではありません。第2講座のWord・Excel・PowerPointの実演は前の画面で見ていただく形式なので、自分の端末で操作を追いかける必要はありません。業種の限定もなく、製造業・小売業・士業など幅広い方が参加されています。むしろ、まだ社内でAIを使っていない会社のほうが、90分で持ち帰れる情報は多いはずです。
Q. 1社から3名以上でMicrosoft Copilotセミナーに参加したい場合はどうすればいいですか? A. 088-611-2333へお電話でご相談ください。定員が先着22名で、原則1社2名までとしているためです。会場は徳島経済産業会館(KIZUNAプラザ)3階 会議室1で、開場は14:00、講座は14:30開始です。席の確保はお申し込み順になりますので、参加人数が決まっている場合は早めにご連絡いただけると調整しやすくなります。
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代表取締役
貝出康
1963年徳島市生まれ。 1999年に楽天の三木谷社長の講演を聴き、イン ターネット時代の到来を悟る。翌年、ホームペ ージ制作会社カンマン設立に参画し、これまで のキャリアで培った営業や人事のスキルを活か しての顧客開拓や社内・労務管理を実践。2019 年〜代表取締役。








