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【汎用性抜群】生成AI定番プロンプト10選

田中健介

Webディレクター兼エンジニア

田中健介

業務で生成AIを安定して使うなら、「毎回うまい聞き方を考える」よりも、定番テンプレを社内標準にして、穴(目的・前提・制約・形式)を埋める運用に寄せるのが最短です。以下の10個は、各種ガイドで繰り返し推奨される「明確な指示」「文脈の提示」「出力形式の指定」「例示(few-shot)」「反復改善」を、そのまま“型”に落としたものです。

なぜ「テンプレ化」が効くのか

生成AIの出力がブレる主因は、モデルの能力差というより入力(プロンプト)の曖昧さです。
OpenAIはプロンプト設計の基本として、指示を明確にする・必要な文脈を与える・例を示す・段階的に改善する、といった方針を整理しています。
またMicrosoftのガイドでも、システム指示(役割・方針)や例示(few-shot)で応答を“型に寄せる”考え方が説明されています。
さらに、長文や複数素材を扱う場合は、ClaudeのドキュメントがXMLタグ等で「指示」「文脈」「例」「形式」を分離する有効性を明示しています(混線防止)。

使い方のコツ(最小限)

  • まずテンプレを1つ選び、{}を埋める(埋まらない項目があるならテンプレ4で先に質問させる)
  • 「評価基準」と「出力形式」を必ず入れる(ここが無いとブレやすい)
  • 重要な資料や数字が絡むなら、テンプレ9で検証手順まで組み込む(ハルシネーション対策)

1) 役割+目的+制約+出力形式(最重要の型)

狙い:回答の“人格”と“ゴール”と“採点基準”を固定してブレを減らす(最初にこれを置く)。

あなたは{役割}です。目的は{達成したいこと}です。
前提:{前提}
制約:{制約(文字数/トーン/禁止事項/期限など)}
評価基準:{良い回答の条件}
出力形式:{箇条書き/表/JSON/手順/チェックリスト など}


業務例(社長/担当者向け)

  • 役割:中小企業の経営企画担当
  • 目的:補助金を使った生成AI研修の社内稟議を通す
  • 評価基準:費用対効果・リスク・導入手順が明確

2) 「60点→100点」ブラッシュアップ(改稿・改善)

狙い:現物があるときに最速で品質を上げる。改善点→方針→改稿の順に固定すると、修正が再現可能になる。

以下は現状60点です。100点にしてください。
手順:
1) 改善点を重要度順に列挙(理由つき)
2) 改善方針を短く提示
3) 改稿版を提示
対象:
{本文/文章/提案/コード/スライド原稿}

使いどころ

  • 提案書、営業メール、採用要項、Web原稿、社内ルール文書の改稿

3) 中学生にもわかるように(やさしく・例え・要点)

狙い:社内浸透・経営層説明で刺さる“翻訳”を作る(専門用語が事故の原因になりやすい)。

{テーマ}を中学生にもわかるように説明してください。
条件:
- 専門用語は使わない(使うなら必ず言い換え)
- 具体例を2つ
- 最後に要点を3つで要約

業務例

  • テーマ:「生成AIのハルシネーション」「RAG」「プロンプトの評価基準」など

4) 不足情報があれば先に質問して(手戻り削減)

狙い:前提不足でズレた成果物を量産しない。最大5つに制限すると質問が散らからない。

回答の前に、不足している前提があれば最大5つまで質問してください。
私が回答したら、{目的}に対して最適な提案を{出力形式}で出してください。

使いどころ

  • 要件が固まっていないWeb制作、業務改善、AI導入、研修設計

5) 要件整理から一緒に(壁打ち・仕様策定)

狙い:曖昧な「やりたい」を、決定事項と次アクションに落とす。意思決定の材料を残すと社内共有が回る。

{やりたいこと}を要件に落としたいです。
最初に、目的/対象ユーザー/現状/制約/優先順位をヒアリングし、
最後に「決定事項」「未決」「次アクション」を箇条書きでまとめてください。

業務例

  • 「問い合わせ対応をAIで効率化したい」→対象範囲、免責、運用体制、KPIを整理

6) 分解して計画を作る(複雑タスクの安定化)

狙い:複雑タスクは“分割”で成功率が上がる(何を入力にして何を成果物にするかを明示)。

{ゴール}を達成するために、作業を小さなステップに分解してください。
各ステップについて「目的」「入力」「出力(成果物)」「注意点」を書いてください。

業務例

  • 社内規程の整備、AI研修の設計、Webサイトリニューアル、営業プロセス改善

7) 出力フォーマット固定(表・JSON・テンプレ)

狙い:人間の後工程(貼り付け、転記、実装)を前提に、機械的に扱える出力に寄せる。形式指定はブレ抑制の定番。

{内容}を作ってください。
出力は必ず次の形式だけで返してください(前置き不要):
{Markdown表/JSONスキーマ/見出し構成/チェックリスト など}

業務例

  • FAQをJSONで、ブログ構成を見出しだけで、議事録をテンプレで、など

8) 自己レビュー→改善版(Critique & Improve)

狙い:一発目の回答を“下書き”扱いにして、リスク(誤り/曖昧/抜け)を先に潰す。

まず回答案を出し、その後に自己レビューをしてください。
自己レビューでは「誤りの可能性」「曖昧さ」「抜け漏れ」「改善案」を挙げ、
最後に改善版(最終回答)を提示してください。

注意

  • 事実が絡む場合、自己レビューだけで確定せずテンプレ9の検証へ(特に数値・法務・医療・助成金など)

9) 事実は検証してから確定(ハルシネーション対策)

狙い:生成→検証→修正の手順をプロンプトに埋め込む。研究としては「Chain-of-Verification(CoVe)」が、初稿→検証質問→独立に回答→最終回答、の流れを提案しています。 arXiv+1

{質問}に答えてください。
ただし、手順を踏んでください:
1) まず暫定回答
2) 暫定回答の中で「事実主張」を箇条書きで抽出
3) 各事実主張を検証するための確認質問(または検証方法)を作る
4) 検証結果を踏まえて最終回答に修正

業務での“現実的な運用”

  • 検証方法に「一次情報(公式サイト/契約書/社内規程/公的機関)」を指定し、参照できない場合は「不明」と書かせる
  • 社内資料を与える場合は「この資料以外を参照しない」と制約化(混入防止)

10) 区切り(タグ)で混線を防ぐ(長文・複数素材)

狙い:指示と素材が混ざると誤読が増える。Claudeのドキュメントは、XMLタグ等でコンポーネントを分離する効能(明確性・正確性・編集容易性)を説明しています。

<context>
{背景情報}
</context>

<instructions>
{やってほしいこと}
</instructions>

<constraints>
{制約}
</constraints>

<output_format>
{出力形式}
</output_format>

使いどころ

  • 契約書/議事録/長文資料の要約、複数URLや複数ファイルの統合、RFP/要件定義

10個を“社内の武器”にする運用

テンプレを配って終わりだと定着しません。最低限、次の3つだけ決めるのが現実的です。

  1. テンプレの置き場所(誰でも同じ最新版を参照できる)
    • Notion / Googleドキュメント / 社内Wiki など
  2. 使う順番(迷いを無くす)
    • 基本は「1→7」
    • 要件が曖昧なら「4 or 5」
    • 複雑なら「6」
    • 文章改善は「2 or 8」
    • 事実が絡むなら「9」
    • 長文は「10」
  3. 評価基準の共通化(“良い出力”の定義)
    • 例:正確性、再現性、根拠、次アクション、形式遵守、機密配慮

よくある失敗と対策

  • 指示が抽象的:「いい感じに」「うまく」
    • 対策:テンプレ1で評価基準を入れる
  • 形式が自由で後工程が詰む
    • 対策:テンプレ7で固定(表/JSON/チェックリスト)
  • 事実が混ざって事故る(数字、制度、法務、実在社名)
    • 対策:テンプレ9で検証ステップを入れ、参照できないものは“不明”にする
  • 長文で素材と指示が混ざって破綻
    • 対策:テンプレ10でタグ分離

カンマンでできること

テンプレは“入口”で、成果は「自社業務に合わせた型」と「運用」で決まります。カンマンでは無料のAI活用相談を案内しており、業務効率化や課題解決の提案、さらに必要に応じて生成AI研修も提供しています。
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田中健介

Webディレクター兼エンジニア

田中健介

2023年に株式会社カンマンへ入社。
フロントエンジニアとしてサイト構築に携わった後、Webディレクターとして様々な案件に携わる。
また、専門学校の非常勤講師としても活動。