中小企業の生成AI導入、9割が「効果あり」なのになぜ進まない? 研修こそが最大のカギである理由をデータで徹底解説
公開日:2026年02月25日

代表取締役
貝出康

これ、知ってますか?
Salesforceの調査によると、世界の中小企業のAI導入率は75%なんです。でも、日本の中小企業は16%。この差、実に59ポイントもある。
「うちには関係ない」「AI導入は大企業のもの」って思ってる経営者の方、ちょっと待ってください。
東京商工リサーチが2025年8月に発表したデータでは、大企業のAI導入率が43.3%なのに対して、中小企業はわずか23.4%。しかも従業員10人未満の小規模事業者になると、10%以下まで落ちます。
一方で、すでにAIを導入した中小企業の約90%が「業務効率化や生産性向上に効果があった」と感じてるんです(D4cアカデミー調査)。
効果があるのに、なぜやらない?
この矛盾、実は「研修」の問題に行き着くことがほとんどです。今日は、このテーマを徹底的に掘り下げていきます。
現状データで見る「中小企業×生成AI」の深刻な格差
まず現状をデータで把握しましょう。
導入率のリアル
情報通信総合研究所の調査(2024年)では、生成AIの業務利用率について以下のような結果が出ています。
- 全体:29.4%
- 大企業(1,000人以上):41.7%
- 中小企業(300人未満):23.4%
一見すると「23%もいるんだ」と思うかもしれません。でも、これは「何らかの形で使ってみた」レベルも含んだ数字です。組織的・継続的に業務に組み込んでいる企業となると、さらに絞られます。
楽天とEdelman Intelligenceが行った調査(2024年)では、中小企業経営者の85.7%がDX・AI人材の確保・育成に課題を感じていると回答。もはや「技術の問題」ではなく、「人材と組織の問題」になっているわけです。
なぜ日本の中小企業だけが遅れているのか
世界と日本の格差には、いくつかの構造的な理由があります。
理由①:言語の壁 ChatGPTをはじめとする生成AIツールの多くは英語圏で開発されており、日本語での精度が当初は低かった。これが「使えない」という印象を広めた。ただし、現在は日本語対応がかなり改善されています。
理由②:慎重文化 日本企業、特に中小企業は「みんながやってから導入する」文化が根強い。「失敗したくない」「セキュリティが怖い」というリスク回避志向が強く働きます。
理由③:情報格差 大企業にはDX担当者やIT部門があり、最新情報が入ってくる。でも中小企業の経営者は日々の業務に追われていて、AI関連の情報にアクセスする時間もルートも限られています。
理由④:予算の問題 「AI導入には高額な初期投資が必要」と思い込んでいる経営者が多い。実際にはChatGPTを月3,000円程度で業務に使えるのに、「うちには無理」と最初から諦めているケースが散見されます。
理由⑤:専門人材の不足(これが最大の壁) 東京商工リサーチの調査では、AI未導入の理由として「専門人材がいない」が55.1%でトップ。つまり、ツールの問題より人材の問題のほうが深刻なんです。
「ツールを入れれば終わり」が最も危険な失敗パターン
ここが一番伝えたいポイントです。
AI導入で失敗する中小企業の多くが、「ツールを契約したが、誰も使っていない」という状態に陥っています。
私が支援先の企業でよく聞く声がこれです。
「ChatGPTのプランを契約したんですけど、一部の人しか使ってなくて……」 「使い方がわからないから、結局Googleで検索するほうが早い」 「AIに何を頼めばいいかわからない」
これ、ツールが悪いんじゃないです。研修がないからです。
研修なしの「自然普及」はほぼ機能しない
「使いたい人が勝手に使えばいい」という放任スタイルは、ツールの普及率という観点ではほとんど機能しません。
理由は明確で、人は「よくわからないもの」を避けるからです。業務が忙しい中で、わざわざ新しいツールを自力で学ぶ人は少数派。しかも、試して失敗したときに「やっぱり使えない」と判断して、二度と触らなくなるリスクがある。
総務省の情報通信白書(2024年版)でも、企業のDX推進において「社員のデジタルスキル不足」が最大の障壁として挙げられています。
正しい使い方を知らないと「害」になることもある
これ、意外と知られていないんですが、生成AIは使い方を間違えると業務の質が下がることがあります。
例えば——
- 事実確認なしにAI生成文章をそのまま使って、誤情報を発信してしまう
- 社内の機密情報をChatGPT(無料プラン)に入力して情報漏洩リスクを生む
- AIが生成したコードの脆弱性に気づかずにシステムに組み込む
こういったリスクを避けるためにも、「AIをどう使うか」「何を入力してはいけないか」というルールと教育が不可欠なんです。
成功事例から学ぶ:研修込みのAI導入が生み出すインパクト
実際の数字を見てみましょう。
日清食品の事例
日清食品グループは、全社でAI活用を推進した結果、年間3万2,000時間超の業務削減を実現しています。
重要なのは、これがツール導入だけで達成されたわけではないということ。社内でのAI活用ガイドライン整備、部門ごとの活用事例共有、継続的な学習機会の提供——つまり組織的な「研修・育成の仕組み」があって初めて実現した数字です。
横須賀市の事例
行政も積極的にAI活用を進めています。横須賀市では生成AIの全庁的な活用により、年間2万7,200時間の業務時間削減を達成。
しかも横須賀市が特筆すべきは、「まず職員がAIを使いこなせるように、徹底的に内部研修を行った」点です。ツール導入と研修をセットにしたことで、短期間で組織全体への普及を実現しました。
カンマンが支援した企業の事例
弊社が支援したある建設業の会社(従業員30名)では、ChatGPTの導入と同時に10時間の研修を実施しました。
研修内容は、 – 生成AIの基本的な仕組みと特性 – 業務別のプロンプト実践演習(見積書の下書き・現場報告書・顧客向けメール) – 社内利用ガイドラインの策定
結果として、研修から3ヶ月後に全社員の67%が週1回以上AIを業務利用するようになりました。特に、現場報告書の作成時間が平均40分から15分に短縮されたという声が多く聞かれました。
AI研修が持つ3つの価値
AI研修には、単純な「ツールの使い方講座」を超えた価値があります。
価値①:心理的安全性の担保
「AIって難しそう」「失敗したらどうしよう」という不安を解消する場が研修です。
ハンズオン形式で実際に使ってみることで、「あ、これ思ったよりシンプルだ」「ちょっと文章変えるだけでこんなに結果が違うんだ」という体験が生まれます。この体験が、その後の自発的な活用につながっていくんです。
価値②:組織のAI活用基準の統一
研修は、個人の利用リテラシーを上げるだけでなく、組織としてのAI活用基準を揃える機能を持ちます。
「これはAIに頼んでいい」「これは自分でやるべき」「これは入力してはいけない」——こういった判断軸を組織全体で共有することで、リスクを抑えながら活用の幅を広げることができます。
価値③:改善サイクルの加速
研修で学んだ社員は、日々の業務でAIを試しながら「もっとうまく使えないか」と改善を重ねます。この試行錯誤の積み重ねが、やがて会社固有の「AI活用ノウハウ」として蓄積されていく。
大企業と中小企業の差は、ツールの差ではなくこの「ノウハウ蓄積の速度」の差になっていくんです。
中小企業に合った4タイプのAI研修
AI研修といっても、一律でいい内容があるわけではありません。会社の規模や業種、研修対象者によって最適な内容が変わります。
タイプ①:全社員向け基礎研修
対象: 全従業員 目的: AI活用の最低限のリテラシーを全員に持ってもらう
主なコンテンツ: – 生成AIとは何か(原理・できること・できないこと) – ChatGPT/Claude/Geminiの基本操作 – よいプロンプトと悪いプロンプトの違い – 情報セキュリティ・入力禁止事項の確認 – 自分の業務での活用シーン探し(個人ワーク)
この研修は、AIを「怖いもの」から「使える道具」に変える認識転換が最大の目的です。
タイプ②:マーケティング・営業職向け応用研修
対象: 営業担当・マーケ担当・広報担当 目的: コンテンツ制作・顧客コミュニケーションの効率化
主なコンテンツ: – SEO記事・LP・メール文の生成と編集 – 顧客向け提案資料の構成設計 – SNS投稿の量産テクニック – 競合分析・市場調査へのAI活用 – プロンプトテンプレートの作成と管理
タイプ③:管理職・経営層向けAI戦略研修
対象: 経営者・部門マネージャー 目的: AI導入の意思決定と推進方法の習得
主なコンテンツ: – AI活用の費用対効果の考え方 – 自社のAI推進ロードマップ設計 – AI導入のリスクマネジメント – チームへのAI活用文化の浸透方法 – 投資判断に使えるKPI設定
経営者が「なぜAIが重要か」を腹落ちして理解することで、予算確保・社内推進がスムーズになります。
タイプ④:エンジニア・IT担当向け技術研修
対象: 社内IT担当・エンジニア・データ担当 目的: AI活用基盤の構築と内製化
主なコンテンツ: – API活用の基礎 – RAG(検索拡張生成)の実装 – 社内データとAIの連携設計 – プロンプトエンジニアリングの深化 – AIシステムのセキュリティ設計
これは中小企業にIT担当者がいる場合に有効で、外部委託コストの削減と内製化推進に直結します。
効果が出るAI研修の設計3原則
研修を実施すればなんでもいいわけじゃないです。効果が出る研修には、共通した特徴があります。
原則①:継続的に行う
1回やったら終わり、ではなく、定期的に学習機会を設けることが重要です。
AIは技術の進化が非常に速い。半年前の常識が今では古くなっていることも多い。だから、月1回のAI活用事例共有会や四半期ごとの新機能説明会など、継続的なアップデートの仕組みを作ることが大切です。
IPAのDX動向2024によると、DXに成功した企業の特徴として「継続的な人材育成投資」が共通項として挙げられています。
原則②:実業務に直結させる
「理論はわかったけど、自分の仕事にどう使えばいいかわからない」——これが最も多い研修後のフィードバックです。
だから、研修の中に必ず「自分の業務でAIを使ってみる時間」を組み込む。見積書・議事録・顧客メール・報告書など、実際の業務と同じシチュエーションで練習することで、翌日から即実践できる状態になります。
原則③:ガイドラインと一緒に整備する
研修と並行して、社内のAI利用ガイドライン(ルール)を整備することが不可欠です。
最低限、以下の内容を定めておく必要があります。
- どのAIツールを使っていいか(承認ツールのリスト)
- 入力してはいけない情報(個人情報・機密情報・未公開情報など)
- AI生成物の確認フロー(誰がどうレビューするか)
- 著作権・知的財産への配慮事項
ガイドラインがないと、「AIで何かまずいことが起きたとき誰が責任を取るか」が不明確になり、現場がAIを積極的に使えなくなります。
助成金を使えばコストも抑えられる
「AI研修の予算がない」という声もよく聞きます。でも、使える補助金があることを知ってますか?
人材開発支援助成金(厚生労働省)
AI・ITスキルに関する従業員研修の費用を最大75%補助。中小企業向けの特例もあり、かなり使いやすい制度です。
研修費用だけでなく、研修中の賃金の一部も補助対象になるため、実質的なコスト負担を大幅に下げることができます。
助成金を活用することで、「費用がない」という理由でAI研修を諦める必要はなくなります。
カンマンができること:伴走型AI導入支援
ここまで読んでくださったあなたは、「じゃあ具体的にどう始めればいいの?」と思っているかもしれません。
カンマンでは、中小企業向けに「研修込みのAI導入支援」を提供しています。
支援内容の概要
まずはヒアリングで、会社の業種・業務内容・課題・現在のIT環境を把握します。次に、導入すべきAIツールの選定と、それに合った研修プログラムの設計を行います。
研修は、座学だけでなくハンズオン(実際に操作する)スタイルを基本とし、業種・職種別にカスタマイズ。さらに、社内ガイドラインの策定も一緒に行います。
導入後も、月次の定例ミーティングで活用状況を確認し、改善提案を継続します。この「伴走型」のサポートこそが、ツールを定着させる上で最も重要だと私たちは考えています。
実際に支援を受けた企業からは、「1年後にAI活用が当たり前の会社になっていた」「競合との差別化につながった」という声をいただいています。
まとめ:AI研修は「コスト」ではなく「投資」
今日お伝えしたことを整理します。
日本の中小企業のAI導入率は世界平均に大きく遅れている。でも、導入した企業の9割は効果を実感している。この矛盾を生み出している最大の原因は「専門人材がいない=研修が不十分」という問題です。
AI研修には、単なるツール習得を超えた価値があります。心理的安全性の担保、組織基準の統一、改善サイクルの加速——これらが組み合わさって初めて、AIは「会社の力」になります。
そして、補助金を活用すれば、コストの壁も乗り越えられます。
まず、今日できる3つのアクション
- 自社のAI利用現状を把握する: 社員の何割がAIを業務で使っているか、アンケートを取ってみる
- 助成金を調べる: 人材開発支援助成金の要件を確認する
- 小さく始める: まず1部門・3人でChatGPTを導入し、1ヶ月間試してみる
「うちには無理」と思っていた会社が、研修ひとつで変わる——そんな現場をぼくたちは何度も目にしてきました。
AIの波は、中小企業にとっても避けられません。でも、正しい研修とサポートがあれば、この波は「脅威」ではなく「追い風」になります。
一緒に、次のステップを踏み出しましょう。
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参考情報 – Salesforce調査:世界中小企業AI導入率(2024年) – 東京商工リサーチ「企業のAI活用状況調査」(2025年8月) – 情報通信総合研究所「生成AI業務利用に関する調査」(2024年) – D4cアカデミー「中小企業AI導入効果調査」(2024年) – IPA「DX動向2024」 – 総務省「情報通信白書2024年版」
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代表取締役
貝出康
1963年徳島市生まれ。 1999年に楽天の三木谷社長の講演を聴き、イン ターネット時代の到来を悟る。翌年、ホームペ ージ制作会社カンマン設立に参画し、これまで のキャリアで培った営業や人事のスキルを活か しての顧客開拓や社内・労務管理を実践。2019 年〜代表取締役。









