AIを使いこなせないWEB制作会社の未来——「作るだけ」の時代は、もう終わった
公開日:2026年04月11日

代表取締役
貝出康

「うちはまだAI関係ないから」
WEB制作会社の経営者や現場のディレクターから、こういう言葉を聞くことがあるんですよ。正直に言います。その認識、かなり危険です。
2026年の今、WEB制作業界は過去に例がないほどの構造変化の真っ只中にいます。生成AIの進化、バイブコーディングの台頭、ノーコードツールのAI統合——これらが同時に押し寄せてきている。「ホームページを作ります」というだけのビジネスモデルが、根底から揺さぶられているんです。
でも、ここで大事なのは「AIに仕事を奪われる」という恐怖の話をしたいわけじゃないということ。私が本当に伝えたいのは、AIを使いこなせるかどうかで、WEB制作会社の未来がまったく違うものになるということなんです。
この記事では、カンマンの貝出として、日々AIを活用しながらWEB制作・マーケティングに携わっている現場の実感を交えながら、「AIを使いこなせないWEB制作会社」がどうなっていくのか、そしてどうすれば生き残れるのかを率直にお話しします。
いま、WEB制作業界に何が起きているのか
市場は伸びている。でも中身が変わっている
意外かもしれませんが、WEB制作の市場規模自体は伸びています。矢野経済研究所の調査によると、2022年度のWebインテグレーション市場規模は8,400億円、2023年度は8,800億円(前年比約4.8%増)と拡大が続いています。
「なんだ、大丈夫じゃないか」と思いました?
ただ、ここには落とし穴があるんです。市場全体は伸びていても、従来型のWeb制作サービスの割合は減少傾向にあります。つまり、パイは大きくなっているけど、旧来のやり方で取れるパイはどんどん小さくなっているということ。
成長しているのは、AI活用を前提としたマーケティング支援、UX設計、データドリブンな改善提案など、「作る」の先にある領域なんですよ。
生成AIが「制作」のコモディティ化を加速させている
DesignRushの予測によると、2026年までに93%のWebデザイナーが日常業務にAIを統合するとされています。ほぼ全員ですよね。
具体的に何が変わったかというと、こんな感じです。
- コーディング: GitHub CopilotやCursorを使えば、HTMLやCSSの記述速度は2〜3倍に
- デザイン: Figma AIやAdobe Fireflyで、バナーやワイヤーフレームの作成が数分で完了
- コンテンツ制作: ChatGPTやClaudeで、下書きやキャッチコピーの叩き台が瞬時に生成
- テスト・最適化: A/Bテストの設計から分析までAIがサポート
従来は数日〜数週間かかっていた工程が、数分〜数時間に短縮されています。これはつまり、「作業としての制作」の価値が急激に下がっているということなんです。
バイブコーディングという黒船
ここで、もうひとつ無視できないトレンドを紹介します。バイブコーディング(Vibe Coding)です。
2025年2月、OpenAIの共同創業者であるAndrej Karpathy氏が提唱したこの概念は、「コードを一行も書かずに、AIに『こういうアプリが欲しい』と話しかけるだけで、実際に動くアプリケーションが出来上がる」というもの。
Lovable、Bolt.new、V0といったツールが代表格で、急速にユーザーを増やしています。AIコードエディタのCursorも大型の資金調達を行い、注目を集めています。バイブコーディング関連の市場は急拡大しており、AI開発ツール全体の成長率は年25%以上とされています。
これが何を意味するかというと、非エンジニアでも「プロンプト→プロトタイプ」が数時間で完了する世界が、もう来ているということなんですよ。
「ちょっとしたコーポレートサイトなら、お客さんが自分で作れちゃう」——そういう時代に突入しているわけです。
AIを使いこなせないWEB制作会社に起きる3つのこと
では、この状況で「AIを使いこなせない」WEB制作会社はどうなるのか。私は3つの深刻な変化が起きると考えています。
1. 価格競争の泥沼にハマる
AIを使いこなしている会社は、制作工程を大幅に効率化しています。中小規模のWeb制作案件では、生成AIを活用することで制作時間を最大50%削減できるという調査結果もあります。
つまり、AI活用会社は半分のコストで同じクオリティのものを作れる。
AIを使えない会社が同じ案件に見積もりを出すと、どうなるか。当然、価格で負けます。価格で勝とうとすると、利益を削るしかない。利益を削ると、人材に投資できない。人材に投資できないと、さらにAI活用が遅れる——という負のスパイラルに陥るんです。
これ、実際にもう起き始めています。クラウドソーシング市場では、単純なバナー制作やコーディングの単価に下落圧力がかかっており、「AI活用前提の価格」が標準になりつつあるという声が業界内で増えています。
2. 「作るだけ」では案件が取れなくなる
お客さんの側も変わっています。Lovableで30分でプロトタイプを作ってみたクライアントが、「これと同じようなもの、なんで200万円もかかるの?」と聞いてくる。これ、実際にある話なんですよ。
もちろん、バイブコーディングで作ったプロトタイプには限界があります。AI生成コードの40〜62%にセキュリティ脆弱性があるというデータもあり、本番運用にはエンジニアの目が不可欠です。
でも、クライアントの期待値は確実に変わっている。
「ホームページを作ります」だけでは、もはや付加価値として認められない。「作った結果、どう成果につながるのか」「運用してどう改善していくのか」——ここまで語れないと、選ばれなくなっているんです。
3. 人材が流出する
これが一番深刻かもしれません。優秀なデザイナーやエンジニアほど、AI活用に積極的です。81%以上の開発者がAIツール使用時に生産性向上を実感しているというデータがあります。
AIを使いこなせない会社にいると、スキルアップの機会を失います。業界のトレンドからも取り残される。そうなると、成長意欲の高い人材ほど「ここにいても将来がない」と判断して離れていく。
残るのは、変化を嫌う人材だけ——。厳しい言い方ですが、これが現実なんですよ。
ベイジの宣言が示す「業界の覚悟」
ここで、業界に衝撃を与えたひとつの宣言を紹介します。
Web制作会社として高い評価を得てきたベイジの代表・枌谷(そぎたに)氏が、明確なロードマップを示しました。
- 2024年:土台を作る
- 2025年:型を作る
- 2026年:成果を出す
- 2027年:ベイジはWeb制作会社と名乗るのをやめる
これ、業界のトップランナーが「Web制作会社という看板を下ろす」と宣言しているわけです。
ベイジが目指しているのは「コンサルシフト」。完全にWeb制作をやめるわけではなく、顧客の成功のための手段のひとつとしてデジタルコンテンツを提供する、という位置づけに変える。
つまり、「作る」から「成果を出す」へのシフト。これが、AI時代のWEB制作会社が進むべき方向を端的に示しているんです。
枌谷氏はまた、今後デザイナーに求められるのは「コミュニケーション能力」「ビジネス理解力」「お金をポジティブに扱う力」だと述べています。専門領域の外側をいかに取り込めるかが問われている、と。
じゃあ、どうすればいいのか——AI時代に生き残る5つの戦略
悲観的な話ばかりしてもしょうがない。ここからは、WEB制作会社がAI時代に生き残るための具体的な戦略を5つ提案します。
戦略1:まず、自社の業務にAIを導入する
「お客さんにAI活用を提案する前に、まず自分たちが使いこなせ」——これ、私がいつも言っていることなんです。
具体的には、こんなところから始められます。
- 見積もり・提案書作成: ChatGPTやClaudeで下書きを作り、人間がブラッシュアップ
- コーディング: CursorやGitHub Copilotを全エンジニアの標準ツールに
- デザイン: Figma AIやMidjourneyでアイデア出し・ムードボード作成を高速化
- 議事録・レポート: 音声文字起こし→AI要約で、ドキュメント作成工数を削減
ポイントは「いきなり全部変えようとしない」こと。まず1つの業務で試して、効果を実感してから広げる。これが一番確実なやり方です。
カンマンでも、まずはブログ記事の執筆プロセスにAIを導入するところから始めました。リサーチ、構成案、下書き——ここをAIに任せることで、記事1本あたりの制作時間が大幅に短縮されました。その分、内容の精度を上げることや、戦略的な企画に時間を使えるようになったんです。
戦略2:「作る会社」から「成果を出す会社」へ転換する
ベイジの事例でも触れましたが、これが最も重要な戦略的シフトです。
「ホームページを作りました、あとはお任せします」——このモデルは終わりつつあります。代わりに求められているのは、こういう価値提供です。
- 作る前: 市場調査、競合分析、ターゲット設定、コンテンツ戦略
- 作った後: アクセス解析、CV改善、コンテンツ更新、広告運用
- 継続的に: SEO対策、SNS運用、データに基づく改善提案
つまり、納品して終わりではなく、成果が出るまで伴走するビジネスモデル。これなら、AIには簡単に代替されません。なぜなら、クライアントのビジネスを深く理解し、人間同士の信頼関係に基づいた提案ができるのは、まだまだ人間の強みだからです。
戦略3:AIを「武器」としてクライアントに提供する
自社でAIを使いこなせるようになったら、次はそれをクライアントへの提供価値に変えるフェーズです。
たとえば、こんなサービスが考えられます。
- AIチャットボットの導入支援: サイトに設置するカスタマーサポート用チャットボット
- コンテンツ運用の自動化: AIを活用したブログ記事の定期更新体制の構築
- パーソナライゼーション: ユーザーの行動データに基づいて、サイトのコンテンツや表示を自動的に最適化
- AI研修: クライアント社内でのAI活用を支援するトレーニング
2026年の今、企業はAIに対して「具体的にいくら儲かったのか」「どれだけのコストが減ったのか」というROIを求めるフェーズに入っています。「AIを導入しましょう」という漠然とした提案ではなく、具体的な成果を見せられる提案ができるWEB制作会社は、強い。
戦略4:専門特化で差別化する
AIが得意なのは「平均的なものを大量に作る」こと。裏を返せば、専門性の高い領域ではまだ人間が圧倒的に強い。
たとえば、こんな特化が考えられます。
- 業界特化: 医療、不動産、飲食、士業など、特定業界のWEB制作に特化
- 技術特化: セキュリティに強い、大規模EC構築、高度なシステム連携
- 地域特化: 地方の中小企業に密着した支援(これはカンマンが実践していることでもあります)
- 目的特化: 採用サイト専門、LP専門、BtoBサイト専門
AIツールで「それなりのもの」が作れるようになった今、「それなりではダメ」な領域にフォーカスする。業界知識、規制への対応、地域のネットワーク——こういった「AIにはない文脈理解」が差別化のカギになります。
戦略5:人材育成にAIリテラシーを組み込む
最後に、組織としての対応。AIリテラシーを「個人の趣味」ではなく「会社の必須スキル」として位置づけることが重要です。
- 全社員へのAI研修: 最低限のプロンプトエンジニアリング、主要AIツールの使い方
- 評価制度への組み込み: AI活用による業務改善を評価項目に
- 実験の文化: 新しいAIツールを試すことを推奨する雰囲気づくり
- 共有の仕組み: 社内でAI活用のナレッジを共有する場を設ける
カンマンでは、AI研修のサービスも提供しています。これは、まさに自社で実践してきたことをクライアントにも展開している例です。「まず自分たちが使って、効果を確かめて、それを人に教える」——このサイクルが一番説得力があるんですよ。
よくある誤解を解いておきたい
AI時代のWEB制作について、いくつかの誤解があるので、ここで整理しておきます。
「AIがあれば、デザイナーは要らなくなる」→ NO
AIはツールです。包丁が料理人を不要にしないのと同じで、AIがデザイナーを不要にすることはありません。
ただし、「包丁を使えない料理人は厳しい」のと同じように、「AIを使えないデザイナーは厳しくなる」のは事実です。AIを使いこなすことで、より高度な仕事に集中できるようになる。それが本来のAI活用のあり方です。
「AIが作ったサイトは品質が低い」→ 半分YES、半分NO
たしかに、AI生成コードの40〜62%にセキュリティ脆弱性があるというデータがあります。本番運用にはプロの目が不可欠です。
でも、プロトタイプやMVP(最小限の実用的製品)としては十分な品質のものが作れるようになっています。つまり、「プロトタイプは爆速、本番は慎重に」が2026年の鉄則。プロの価値は「作る」ことそのものから、「品質を保証する」「セキュリティを担保する」「運用を支える」ことにシフトしているんです。
「地方の中小企業にはまだAIは関係ない」→ 大間違い
むしろ、リソースが限られた中小企業こそ、AI活用の恩恵が大きい。
少ない人数で回している会社が、AIを使って1人あたりの生産性を3倍にできたら? それは、大企業とのギャップを縮めるチャンスなんです。
カンマンは徳島県を拠点に、地方の中小企業のWebマーケティングを支援していますが、AIを使いこなすことで、都市部の大手制作会社と同等以上の価値提供ができると実感しています。地方だからこそ、AIを味方につけるべきなんです。
「今さら遅い」は本当か?——後発組のリアルな始め方
「もう出遅れた」「今から始めても遅いんじゃ……」そう感じている方もいるかもしれません。
断言します。まだ間に合います。
なぜなら、2026年の今でも、本格的にAIを業務フローに組み込めているWEB制作会社は、実はそこまで多くないからです。ツールを個人的に触っている人はいても、「組織として活用している」レベルに達している会社は少数派。
後発組が追いつくためのステップを、現実的なレベルで整理します。
最初の1週間:個人で触る
ChatGPTやClaudeの無料版でいいので、毎日の業務のどれか1つをAIに手伝ってもらう。メールの下書き、議事録のまとめ、コードのレビュー——何でもいい。「へぇ、こんなことできるのか」という実感を得ることが最初のゴールです。
最初の1ヶ月:チームで共有する
「これ便利だったよ」を社内で共有する場を作る。Slackのチャンネルでも、週1回の朝会でもいい。ポイントは、成功体験だけじゃなく「これは使えなかった」という失敗も共有すること。リアルな知見が蓄積されます。
最初の3ヶ月:業務フローに組み込む
「毎回手動でやっていたこの作業を、AIに任せる」という仕組みを1つ以上確立する。提案書のテンプレート生成でも、コーディングの補助でも、何でもいい。「使っている人がいる」から「使うのが当たり前」への転換が大事なんです。
大きな投資は要りません。必要なのは、「やってみよう」という一歩だけです。
2026年から2030年——WEB制作業界の未来予測
最後に、私なりの未来予測をお話しします。
2026年〜2027年:二極化が鮮明に
AI活用を進める会社と、そうでない会社の差が目に見えて開きます。ベイジのように「Web制作会社と名乗るのをやめる」会社が出始める一方で、AIを使えないままの会社は価格競争に苦しむようになります。
2027年〜2028年:「AI活用」が当たり前に
この頃には、AIを使うことが特別ではなくなります。「うちはAIを活用しています」がセールスポイントにならない。なぜなら、使っていない会社のほうが珍しくなるから。差別化のポイントは「AIをどう使って、どんな成果を出しているか」に移ります。
2029年〜2030年:新しい業態の確立
「WEB制作会社」という業態自体が大きく変容します。デジタルマーケティングパートナー、ビジネストランスフォーメーション支援、AI導入コンサルティング——さまざまな名前で呼ばれるようになるでしょうが、共通しているのは「作る」ではなく「成果を出す」がコアバリューになっているということ。
AI開発ツール市場はCAGR25%以上で成長を続けると予測されていますから、「作る」こと自体の価値はさらに下がります。でも、「何を作るべきか」「作ったものをどう活かすか」の価値は、むしろ上がるんですよ。
カンマンが実践していること
最後に、私たちカンマンが実際にやっていることを少しだけ紹介させてください。
カンマンは徳島県のWEB制作・マーケティング会社です。地方の中小企業をクライアントに持ち、「地域に根ざしたデジタルマーケティング支援」を強みにしています。
私たちがAI活用で意識しているのは、こういうことです。
1. 自分たちが最初のユーザーになる
新しいAIツールが出たら、まず自社の業務で試す。Claude、ChatGPT、Cursor、Lovable——使ってみて、「これはクライアントにも使える」と確信してから提案する。机上の空論ではなく、実体験に基づいた提案ができるのは、大きな強みです。
2. AI研修で「使える人」を増やす
カンマンではAI研修サービスも提供しています。WEB制作のプロとして、AIをどう業務に取り入れるかを実践的に教えるプログラムです。「AIを使いこなせない会社」を減らしたい。これは業界全体のためにもなると思っています。
3. 地方×AIで、新しい価値を作る
地方の中小企業は、大手企業と比べてリソースが限られています。だからこそ、AIの活用が効くんです。少ない予算でも効果的なWebマーケティングを実現する——AIはそのための強力な武器になります。
まとめ——動くなら、今
AIを使いこなせないWEB制作会社の未来は、正直に言って厳しいです。
- 価格競争で消耗する
- 「作るだけ」では案件が取れない
- 優秀な人材が流出する
でも、逆に言えば、今AIを使いこなす側に回れば、チャンスは大きい。
市場は1兆円規模に成長している。クライアントのニーズは「作る」から「成果を出す」にシフトしている。AIを武器にできる会社への需要は、これからますます高まります。
大切なのは、「完璧に使いこなしてから始めよう」と思わないこと。まずは1つのツールから。まずは1つの業務から。小さく始めて、少しずつ広げていく。
私たちカンマンも、まだまだ道半ばです。でも、一歩ずつ前に進んでいます。
あなたの会社も、今日から始めてみませんか?
一緒に、AI時代のWEB制作の新しいカタチを作っていきましょう。
株式会社カンマンは、徳島県を拠点にWebマーケティング・AI活用支援を行っています。AI研修やWebサイト制作・運用についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
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代表取締役
貝出康
1963年徳島市生まれ。 1999年に楽天の三木谷社長の講演を聴き、イン ターネット時代の到来を悟る。翌年、ホームペ ージ制作会社カンマン設立に参画し、これまで のキャリアで培った営業や人事のスキルを活か しての顧客開拓や社内・労務管理を実践。2019 年〜代表取締役。









