AI時代でも人間に残る10の仕事
公開日:2025年07月03日
Webディレクター兼エンジニア
田中健介

生成AIが目覚ましい進化を遂げる一方で、「自分の仕事は残るのか」という不安は年々高まっています。世界経済フォーラム(WEF)の Future of Jobs Report 2023 によれば、企業は2027年までに業務の42%を自動化し得ると回答しましたが、同時に「判断・創造・身体性・感情」を要する職務はむしろ需要が伸びると見ています。
また 2024 年の米ギャラップ調査では、22%の労働者が「テクノロジーに職を奪われる恐れがある」と回答したものの、多くの専門家は“AIが置き換えるのはタスクであって職業そのものではない”という立場です。
以下では 「AIによって代替されにくい10の仕事」 を具体例とともに示し、なぜ機械では担い切れないのかを論理的根拠とともに解説します。
AIによる代替不可な仕事10選
医師・看護師など医療従事者
- 理由: 診断支援や画像読影ではAIが優位でも、患者の文脈を踏まえた治療方針の決定と心理的ケアは高度な倫理判断と共感が必須。
- 展望: AIは“第二の意見”として定量情報を提示し、人は最終判断と説明責任を担うハイブリッドモデルへ。
介護士・ソーシャルワーカー
- 理由: 身体介助・生活支援に加え、利用者の尊厳を守りながら信頼関係を築く**エモパシー(情緒的洞察)**が核心。
- 根拠: TechTargetは「AIは倫理的ジレンマを伴うケースワークを解決できない」と指摘していますtechtarget.com。
教師・コーチ・研修講師
- 理由: カリキュラム設計自体は自動化可能でも、学習者の非認知スキルを引き出す対話的フィードバックは依然人間の専売特許。
- 付記: WEFは 2027 年までに「職業教育教師」が有望成長職トップ10に入ると予測weforum.org。
研究者・科学者
- 理由: データ解析はAIで高速化するものの、未踏領域の仮説生成や研究戦略の舵取りは想像力とリスクテイクが欠かせない。
- ポイント: AIは既存データの外挿には強いが「何を問うか」は人間のクリエイティビティに依存。
クリエイティブ・ディレクター/アートディレクター
- 理由: 作品が社会に与える文脈的インパクト、ブランド哲学の翻訳など**多層的な“意味づけ”**は大規模言語モデル単体では困難。
- 現状: 生成AIはスケッチやバリエーション出力で“発想パートナー”として機能し、人は最終的な審美眼で価値を決定。
熟練職人・シェフ・大工
- 理由: 微細な触覚・嗅覚・聴覚を駆使した**暗黙知(タコツボ知)**は定式化が難しく、ハードウェア面のコストも高い。
- 事例: 寿司職人の握り加減や木造建築の“殺ぎ(そぎ)”の技術は数十年の経験に根差す身体知。
弁護士(訴訟・交渉系)・経営コンサルタント
- 理由: クライアントとの信頼関係構築、利害調整、不確実性下での戦略的判断は人間同士の駆け引きを伴う。
- 補足: 文書レビューはAIに委ね、弁護士は交渉戦術と法廷戦略に集中する“レバレッジ型”が主流に。
ジャーナリスト・調査報道記者
- 理由: 現場取材、オフレコ情報、人脈醸成など**「一次情報を掘る力」と倫理的判断**が不可欠。
- 注意点: AI生成記事の増加で“信頼のブランド価値”がさらに差別化要因に。
建築家・都市デザイナー
- 理由: 美観・機能・規制・地域コミュニティとの調和を多面的に検討するシステム思考は依然として人主導。
- 動向: パラメトリック設計でAIは多案生成を支援、人は顧客や行政との折衝を通じて最終案を決定。
組織リーダー・プロジェクトマネジャー
- 理由: ビジョン策定、組織文化醸成、利害関係者マネジメントという高度なメタ認知と感情統制は機械学習では再現性が低い。
- 示唆: AIは KPI ダッシュボードやリスク予測を提供し、人間は“方向性”と“人心掌握”に集中する分業が進展。
AIと“棲み分け”ではなく“相互強化”へ
AIが得意とするのは、高速計算・大量記憶・パターン認識。一方、人間に残るのは、身体性・情緒・倫理・創造。
今回挙げた10職種は、これら人間固有の強みが“仕事の核心価値”に組み込まれているため、完全代替のコストが釣り合わない領域です。
とはいえ、AI活用が不要という意味ではありません。医師が診断AIを用い、教師が学習分析を活かし、職人がロボットアームで下処理を任せる――AIを“道具”として取り込む人ほど生産性も報酬も高まることは、過去の自動化の歴史が示しています。
最終的に競争優位を握るのは、AIに仕事を奪われない人ではなく、AIを味方に付けて価値を拡張できる人である。
あなたのキャリア設計においても、「AIに何を任せ、自分がどの“最後の10ヤード”を担うのか」を具体的に描くことが、来る10年での最大のリスクヘッジとなるでしょう。
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Webディレクター兼エンジニア
田中健介
2023年に株式会社カンマンへ入社。
フロントエンジニアとしてサイト構築に携わった後、Webディレクターとして様々な案件に携わる。
また、専門学校の非常勤講師としても活動。