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生成AIで成果が出る人と出ない人の違い|現場で見えた3つの分岐点

松本佳久

生成AIコンサルタント/ブランドマネージャー

松本佳久

生成AIで「成果が出る人」と「出ない人」は何が違うのか

私は徳島で生成AIの研修やコンサルティングをしています。製薬会社、自動車教習所、建設会社、製造会社まで、いろんな業種の現場で「AI活用」の支援をしてきました。

その中で、はっきり見えてきたことがあります。同じ研修を受けても、翌週から業務にAIを組み込む人と、「すごかったね」で終わる人がいるんですよね。同じツールを使っていても、明確に成果が分かれます。

この違いはITリテラシーの高さではありません。もっと根本的な、思考と行動のパターンの違いです。現場で見えた3つの分岐点を、実体験をもとに書いていきます。

分岐点1:「思考しているか」どうか

結論:生成AIは思考を掛け算で拡張する道具なので、思考がゼロなら何を掛けてもゼロです。

研修を何十回とやってきて、最も明確に見えるパターンがこれでした。生成AIを使いこなせない人には、共通する思考の型があります。いわゆる「マニュアル思考」です。

マニュアル思考というのは、物事の裏側や本質を考えず、決められたオペレーションを決められたルールに則って、言われたことを言われた通りにこなす思考のことです。こういう方にAIを渡しても、「何を聞けばいいかわからない」で止まってしまいます。

ある企業で営業支援にAIを導入しようとした際、すでに自社の顧客分析や市場理解を持っている担当者は、AIに「こういう切り口で提案書のたたき台を作ってくれ」と具体的に指示を出せました。一方で、普段から上長の指示待ちで動いている担当者は、AIの前でも「何を聞けばいいですか?」と聞いてきたんですよね。

生成AIは「思考の先」を掛け算で拡張するツールです。自分の考え、仮説、判断軸があって初めてレバレッジが効きます。思考がゼロの状態では、どれだけ高性能なAIを使っても出力はゼロのままです。

ちょっと厳しい話かもしれませんが、研修の現場で何度も確認してきた事実です。

分岐点2:プライベートで使い倒しているか

結論:業務で成果を出す人は、例外なくプライベートでAIをハードユースしています。

研修後に「実際に使い続けている人」を観察すると、面白い共通点が見えてきました。業務で成果を出している人は、仕事の外でもAIを日常的に使っているんですよね。

たとえば、ある受講者は自身の健康管理として毎日の食事を写真に撮り、AIに栄養バランスを分析させていました。別の受講者は、子どもに勉強を教える際に「小学3年生にわかるように因数分解を説明して」とAIに聞いて、教え方そのものを改善していました。

こうした人たちは、プライベートの試行錯誤を通じてAIの「癖」や「得意不得意」を体感的に理解しています。だから業務に応用する段階で「このタスクはAIに任せられる」「ここは人間が判断すべき」という切り分けが自然にできるわけです。

逆に、「会社の研修で初めてAIに触れた」という人が翌日から業務で使い続けるケースは、正直かなり少ないです。研修中に手を動かして体験した人だけが、翌日以降も使い続けます。これは研修設計をする側として、何度も確認してきた原則です。

分岐点3:AIの出力を「止められるか」

結論:AIを使いこなす人は、AIの出力を鵜呑みにせず、事実と照合して「止める」判断ができます。

生成AIはもっともらしい嘘をつきます。いわゆるハルシネーションですね。これを検知できるかどうかが、成果の分かれ目になります。

私自身の業務でも、ある引越し会社の提案資料をAIと共同で作成していた際、AIが過去の会話の記憶を誤って参照し、引越し会社をリフォーム会社と誤認したまま提案を進めようとしました。この誤認に気づけたのは、私がその会社の事業内容を事前に把握していたからです。冒頭で「会社の詳細な業務内容」を前提条件として入力していなければ、この誤認は防げました。

AIの出力を検証するには、その分野の基礎知識か、事実を確認する習慣のどちらかが必要です。AIを使いこなす人は「AIが間違えた」と他責にするのではなく、「AIの癖を理解した上で自分がプロンプトを設計する」という姿勢を持っています。先ほどのマニュアル思考との対比でもありますよね。道具の特性を理解して使い方を工夫するのは、思考する側の人間にしかできません。

「すごいね」で終わる人と、業務に翻訳できる人

結論:研修で感動しても、自分の業務に「翻訳」できなければ成果にはつながりません。

研修中の反応が良いことと、実際に業務で使えるようになることは、まったく別の話です。

ある研修では、AIが自社サイトのアクセス解析から課題をを数秒で生成するデモを見せた後、参加者全員が「すごい」と声を上げました。しかし翌週、実際に様々な業務でAIを使い始めていたのは6人中2人だけでした。その2人に共通していたのは、デモを見ながら「これ、自分の○○の業務に使えるな」と、頭の中で自分の仕事に翻訳していたことです。

翻訳できなかった人たちは、研修後に「で、具体的にうちの仕事のどこに使えるんですか?」と質問してきました。この質問自体は悪くないのですが、これが出てくる時点で受け身の姿勢が表れているかなと思います。自分の業務を最も知っているのは自分自身ですし、「どこに使えるか」は自分で考えるしかないんですよね。

研修設計としては、この「翻訳」を促す仕掛けが大事です。私は研修中に必ず、参加者自身に手を動かしてもらう時間を設けています。見るだけでは翌日忘れます。自分の手で入力し、自分の業務に近いテーマで出力を確認する。この体験があるかないかで、定着率はかなり変わります。

AIを使いこなす人に共通する「判断軸」の存在

結論:AIの出力品質を決めるのはプロンプトの技術ではなく、使う側の判断軸の明確さです。

「プロンプトエンジニアリングを学べばAIを使いこなせる」という記事をよく見かけますが、現場の実感としては少し違います。プロンプトの書き方は確かに重要ですが、それ以前に「自分は何を実現したいのか」「どういう基準で良し悪しを判断するのか」が明確でなければ、どんなプロンプトを書いても出力の評価ができません。

私はブランディングの知見を活かして、企業のAI導入支援をする際に「自社の判断基準を5つ定義する」というアプローチを取ることがあります。自社の存在意義、顧客への約束、絶対にやらないこと、自社らしいトーン、判断に迷った時の優先順位。この5つを言語化するだけで、AIの出力に対して「これは自社らしい」「これは違う」という評価が格段にしやすくなります。

想定Q&Aを100個用意するより、判断基準を5つ定義する方が、未知の質問にも一貫した軸で対応できます。これはAIの特性を理解した上での、実践的なアプローチです。

まとめ:生成AIは「その人自身」を映す鏡である

生成AIで成果が出る人と出ない人の違いを、3つの分岐点として整理してきました。

第一に、そもそも思考しているかどうか。AIは思考を拡張しますが、思考がなければ拡張するものがありません。第二に、プライベートを含めて日常的に使い倒しているかどうか。体験の蓄積だけが、業務への応用力を生みます。第三に、AIの出力を検証し、止める判断ができるかどうか。鵜呑みにする人は、いずれ大きな失敗をします。

つまるところ、生成AIはその人の思考力、行動力、判断力をそのまま映し出す鏡のような道具です。AIが使えないのではなく、AI以前の部分に課題がある場合が多いのかなと思います。

少し厳しい話が多かったかもしれませんが、これは研修の現場で繰り返し確認してきた事実です。逆に言えば、普段から考え、試し、検証する習慣がある人にとって、生成AIは業務上の大きなレバレッジになります。

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松本佳久

生成AIコンサルタント/ブランドマネージャー

松本佳久

WEB制作会社カンマンにて10年間制作事業に従事後、ディレクターとして徳島県内を中心に200件以上のWEBプロジェクトを担当。
SEOによる集客や戦略策定、解析ツールを活用した改善、ブランディングに加え、2022年より生成AI技術の実践的活用を研究し、企業向け生成AI研修やセミナーを開催中。