【生産性UP】GoogleスプレッドシートのAI関数について徹底解説
公開日:2025年11月05日

Webディレクター兼エンジニア
田中健介

「AI関数」とは?
GoogleスプレッドシートのAI関数とは、一言でいえば**「セルに指示(プロンプト)を入力するだけで、AIがテキスト処理を実行してくれる機能」**です。
これまでAIを使うには、ChatGPTやGeminiの画面を開き、テキストをコピー&ペーストし、結果をまたスプレッドシートに貼り付ける、といった手間が必要でした。
しかし、=AI()関数を使えば、そのすべてがセル内で完結します。
基本的な構文


構文は驚くほどシンプルです。
=AI("AIへのお願い(プロンプト)", [参照するセル範囲])
- 第1引数(プロンプト): 「何をしたいか」を自然な日本語で指示します。
- 例: 「この文章を要約して」「感情を分析して」「キャッチコピーを考えて」
- 第2引数(参照セル): AIに処理させたいデータが入っているセル(またはセル範囲)を指定します。
例えば、セルA2に長い文章が入っている場合、B2に以下のように入力します。
=AI("A2の文章を50文字で要約して", A2)
たったこれだけで、B2セルにA2の文章の要約が自動で表示されます。VLOOKUPやQUERY関数のように、AIを関数として扱えるようになったのです。
※サイドパネルのAIとの違いは?
スプレッドシートには、画面右側に出てくる「Geminiに相談」サイドパネルもあります。このAIとの違いを理解しておくと便利です。

=AI()関数:- 目的: セル内のデータ(テキスト)を直接処理・変換・生成する。
- 特徴: 関数なので、下にオートフィルでコピー可能。大量データの「一括処理」に強い。
- サイドパネルAI:
- 目的: シート全体の操作補助、分析、表の新規作成。
- 特徴: 対話形式で「このデータの傾向を教えて」「プロジェクト管理表を作って」といった「作業の補助」に強い。
今回は、特に「データ処理の自動化」に強力な=AI()関数に焦点を当てて解説します。
【実践】業務が捗る! =AI() 関数の具体的な活用シーン7選
=AI()関数の真価は、その汎用性の高さにあります。ここでは、実際の業務でよくある「面倒な作業」をAI関数で解決する具体例を紹介します。
活用シーン1:大量のテキストデータを瞬時に「要約」
顧客レビュー、会議の議事録、長文のレポートなど、すべてを読む時間がない場合に最適です。
- お悩み: 毎日届く数十件の顧客アンケート(自由回答)を読む時間がない。
- 関数例(A列にアンケート回答がある場合):
=AI("A2のレビューの要点を3行でまとめて", A2) - 活用: この関数をB列に入力し、下にオートフィルするだけで、すべてのレビューの要約が一瞬で完成します。
活用シーン2:問い合わせやアンケートを自動で「分類・タグ付け」
手作業での分類は、時間がかかる上に判断基準がブレやすい作業の代表格です。
- お悩み: お客様サポートに来る問い合わせ内容(B列)を「不具合」「質問」「要望」「その他」に仕分けしたい。
- 関数例:
=AI("B2の問い合わせ内容を『不具合』『質問』『要望』『その他』のどれかに分類して", B2) - 活用: 分類結果をもとにピボットテーブルを使えば、どのカテゴリの問い合わせが多いかを即座に可視化できます。
活用シーン3:レビューの「感情分析(ネガポジ判定)」
アンケート結果やSNSの反応から、顧客の感情を素早く把握します。
- お悩み: 商品レビュー(C列)がポジティブなのかネガティブなのかを一覧で把握したい。
- 関数例:
=AI("C2のレビューの感情を『ポジティブ』『ネガティブ』『中立』で判定して", C2) - 活用: 「ネガティブ」と判定されたレビューだけを抽出し、迅速な改善アクションにつなげられます。
活用シーン4:必要な情報だけをピンポイントで「抽出」
「この文章から住所だけ抜き出したい」といった作業は、従来は正規表現など難しい知識が必要でした。
- お悩み: 問い合わせ本文(D列)に混在している「メールアドレス」と「電話番号」だけを抜き出したい。
- 関数例(メールアドレス抽出):
=AI("D2のテキストからメールアドレスだけを抜き出して", D2) - 関数例(電話番号抽出):
=AI("D2のテキストから電話番号だけを抜き出して", D2)
活用シーン5:広告文やメール文面を「一括生成」
商品名やキーワードから、クリエイティブなテキスト案を量産できます。
- お悩み: 新商品(E列)のメルマガ用キャッチコピーを複数案考えたい。
- 関数例:
=AI(E2 & " という商品を使った、顧客の興味を引くメルマガの件名を5個考えて", E2) - 活用:
&を使ってセル参照と指示文を組み合わせるのがコツです。A/Bテスト用の広告文を大量生成する際にも役立ちます。
活用シーン6:面倒な「翻訳」もセル内で完結
GOOGLETRANSLATE関数よりも文脈を理解した、自然な翻訳が期待できます。
- お悩み: 海外支店からの英語レポート(F列)を、自然な日本語に翻訳したい。
- 関数例:
=AI("F2の英語を、ビジネスで使える自然な日本語に翻訳して", F2)
活用シーン7:データの「整形・クレンジング」
表記ゆれ(例: ㈱、(株)、株式会社)の統一や、不要な記号の削除など、地味に面倒なデータクレンジングもAIが得意です。
- お悩み: 会社名(G列)の表記がバラバラで集計できない。
- 関数例:
=AI("G2の会社名を『株式会社』を含む正式名称に統一して(例:株式会社〇〇)", G2)
AI関数を使いこなすためのヒントと注意点
=AI()関数は魔法のようですが、万能ではありません。特性を理解して使いこなしましょう。
メリット:なぜAI関数を使うべきか?
- 圧倒的な時短: 何時間もかかっていた手作業が、関数をコピーする数秒で終わります。
- 属人化の排除: これまでベテラン社員の「感覚」で行っていた分類作業なども、AIの基準である程度統一できます。
- スケーラビリティ: データが100件から10,000件に増えても、関数をコピーする手間は変わりません。
注意点:知っておくべき「落とし穴」
- 【最重要】利用条件(有料プラン)
=AI()関数をはじめとするGoogle WorkspaceのAI機能は、基本的に有料プランの契約が必要です(2025年11月現在)。- 個人向け: 「Google One AI Premium」
- 法人向け: **「Gemini for Google Workspace」**アドオン
- 無料版のGoogleアカウントでは利用できない可能性が高い点に注意してください。
- 結果の「ゆらぎ」と「正確性」
- AIは特性上、同じ指示でも実行するたびに結果が微妙に変わる(ゆらぐ)ことがあります。
- また、AIの回答が100%正しいとは限りません。特に分類や抽出が間違っていないか、最終的な目視確認は必ず行いましょう。
- 処理速度とコスト
- AI関数は、実行時にGoogleのサーバーと通信します。そのため、数百〜数千行のデータを一度に処理させると、再計算に時間がかかる場合があります。
- プランによっては、AIの利用回数に上限が設けられている可能性もあります。
- 複雑な関数との連携
- 現時点では、
=AI()関数の結果を、IF文やVLOOKUPの検索値として直接ネスト(入れ子に)して使うのは難しい場合があります。一度AIで処理した結果を別セルに出力し、そのセルを他の関数で参照するのが確実です。
- 現時点では、
まとめ:=AI() 関数で、スプレッドシート作業を次のレベルへ
Googleスプレッドシートの=AI()関数は、これまで「手作業でやるのが当たり前」だった面倒なテキスト処理を、根本から覆す可能性を秘めた強力なツールです。
- 要約、分類、抽出、生成、翻訳…
- これまで半日かかっていた作業が、数分で終わる
もちろん、有料プランの契約やAIの特性(ゆらぎ・不正確さ)といったハードルはありますが、それを差し引いても、得られる「時間」というリターンは計り知れません。
もしあなたが有料プランを利用できる環境にあるなら、まずは手元のシートで「アンケートの分類」や「レビューの要約」から試してみてください。
その圧倒的な効率化に、きっと驚くはずです。
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Webディレクター兼エンジニア
田中健介
2023年に株式会社カンマンへ入社。
フロントエンジニアとしてサイト構築に携わった後、Webディレクターとして様々な案件に携わる。
また、専門学校の非常勤講師としても活動。








