【業務効率化】中小企業でもできる!AIで実現する自動化事例10選
公開日:2025年04月25日
アナリスト兼エンジニア
北村

「AI」「自動化」「DX」…最近よく耳にするキーワードですが、「うちのような中小企業には関係ない」と思っていませんか?実はそんなことはありません。今やAI技術は大企業だけのものではなく、中小企業こそ活用するべき強力なツールなのです。
日々の業務に追われる中小企業にとって、業務の効率化は大きな課題です。人手不足、コスト削減、生産性向上など、様々な課題を解決するために、AI技術を活用した業務自動化が注目されています。
特に「Google Apps Script(通称:GAS)」と「ChatGPT」などのAIを組み合わせることで、プログラミングの専門知識がなくても、低コストで業務自動化を実現できるようになりました。
本記事では、中小企業でも取り入れやすい自動化の事例を10個紹介します。自社の業務に当てはめて、ぜひ試してみてください。
Google Apps Scriptとは?

Google Apps Script(以下、GAS)は、Google Workspaceのアプリケーション(Googleスプレッドシート、Gmail、Googleカレンダーなど)を自動化・拡張するためのJavaScriptベースのプログラミング言語です。
GASの特徴は以下の通りです:
- 無料で利用可能:Googleアカウントがあれば誰でも利用できます
- 開発環境が不要:ブラウザ上で直接コードを記述・実行できます
- Googleのサービスとシームレスにつながっている:各種Googleサービスとの連携が簡単です
- 定期実行が可能:スケジュールを設定して自動で実行できます
AIとGASを組み合わせることで、より高度な自動化が可能になります。それでは、具体的な事例を見ていきましょう。
自動化事例10選
事例1:日報・週報の自動作成

課題
毎日・毎週の業務報告書の作成に多くの時間を費やしている。同じような内容を何度も書き直す作業が非効率。
解決策
Googleスプレッドシートに一日の業務内容を簡潔に記録し、それをGASとChatGPTを連携させて自動的に整形された日報に変換します。
実装方法
- Googleスプレッドシートに日々の業務内容を入力するシートを作成
- GASでChatGPT APIを呼び出し、入力内容を基に整形された日報を生成
- 生成した日報を自動的にGoogleドキュメントに出力、または関係者にメールで送信
効果
- 日報作成時間の短縮(平均30分→5分)
- 報告内容の質の向上
- 業務記録の標準化
日報作成に時間をかけず、より価値のある業務に集中できるようになります。ChatGPTの文章生成能力を活用することで、簡潔かつ的確な報告書が自動で作成されます。
事例2:顧客対応メールの自動返信

課題
同じような問い合わせに対して、毎回似たような返信をしている。また、返信作成に時間がかかり、対応が遅れがちになる。
解決策
Gmailで受信したメールの内容をGASで取得し、AIで内容を分析・分類して、適切な返信を自動生成します。
実装方法
- GASでGmailの特定ラベルや条件に合致するメールを監視
- 新着メールを検出したら内容をChatGPTに送信して分析
- 問い合わせの種類に応じた返信テンプレートを選択し、内容を自動生成
- 自動生成した返信を下書きとして保存、または直接送信
効果
- 返信作成時間の大幅削減
- 顧客への初期対応の迅速化
- スタッフの業務負担軽減
特に定型的な問い合わせの多い業種では、初期対応だけでも自動化することで、顧客満足度向上とスタッフの負担軽減を両立できます。
事例3:請求書・見積書の自動生成

課題
請求書や見積書の作成には、顧客情報の入力や料金計算など、手間と時間がかかる。また、ミスが発生することがある。
解決策
Googleスプレッドシートに基本情報を入力するだけで、請求書や見積書をGASで自動生成します。
実装方法
- 顧客情報・料金情報を管理するGoogleスプレッドシートを作成
- GASで請求書・見積書のテンプレートをGoogleドキュメントやGoogleスライドで用意
- スプレッドシートに新規データが入力されたら、GASで自動的にテンプレートに情報を反映
- 完成した請求書・見積書をPDFに変換し、指定フォルダに保存または自動メール送信
効果
- 書類作成時間の短縮(1件あたり15分→1分)
- 人為的ミスの削減
- 経理業務の効率化
中小企業では経理担当者の負担が大きいケースが多いため、この自動化は大きな効果を発揮します。
事例4:営業活動データの自動集計・分析

課題
営業担当者の活動データを収集・集計するのに時間がかかる。また、データの分析が不十分で、営業戦略の改善につながっていない。
解決策
Googleフォームで営業活動データを収集し、GASで自動集計・分析を行い、ChatGPTでインサイトを抽出します。
実装方法
- Googleフォームで営業担当者の活動報告を収集(訪問先、内容、成果など)
- 収集したデータをGoogleスプレッドシートに自動で蓄積
- GASで定期的にデータを集計・グラフ化
- 集計データをChatGPTに送信して傾向分析やアクションプランを自動生成
- 分析結果を定期的にメールで関係者に送信
効果
- データ集計・分析作業の自動化
- 営業活動の見える化
- データに基づいた営業戦略の立案
AIを活用した分析により、「どの商品がどの顧客層に売れているか」「効果的な営業アプローチは何か」などの洞察を得られ、営業戦略の改善につなげられます。
事例5:在庫管理と発注の自動化

課題
在庫管理が手作業で行われており、在庫切れや過剰在庫が発生。発注のタイミングや数量も勘で決めているため非効率。
解決策
Googleスプレッドシートで在庫を管理し、GASで在庫レベルを監視。適切なタイミングで発注アラートを出したり、自動発注を行います。
実装方法
- 在庫管理用のGoogleスプレッドシートを作成(商品名、現在の在庫数、最低在庫数、発注ロットなど)
- Googleフォームやスキャナーを使って入出庫を記録
- GASで定期的に在庫レベルをチェック
- 在庫が最低在庫数を下回った場合、アラートメールを送信
- オプションとして、サプライヤーへの発注メールを自動生成・送信
効果
- 在庫切れの防止
- 過剰在庫の削減
- 発注業務の効率化
- 在庫コストの最適化
特に多品種の商品を扱う小売業や製造業では、在庫管理の自動化による効果が大きいでしょう。
事例6:社内予約システムの自動化

課題
会議室や社用車、備品などの予約が口頭やホワイトボードで管理されており、二重予約や取り合いが発生する。
解決策
Googleカレンダーとフォームを使った予約システムをGASで構築します。
実装方法
- 予約対象ごとにGoogleカレンダーを作成
- Googleフォームで予約申請を受け付け
- GASで予約の重複チェックを行い、問題なければカレンダーに予約を登録
- 予約完了通知を申請者に自動送信
- カレンダーを全社で共有して予約状況を可視化
効果
- 予約プロセスの効率化
- 二重予約の防止
- リソース利用の最適化
- 管理業務の削減
小規模な会社でも、会議室や共有設備の予約調整は頭の痛い問題です。このシステムにより、スムーズな予約管理が実現します。
事例7:経費精算の自動化

課題
経費精算に関わる領収書の管理や申請書の作成、承認プロセスが煩雑。処理に時間がかかり、経理担当者の負担が大きい。
解決策
Googleフォームとスプレッドシート、GASを組み合わせて、経費精算プロセスを自動化します。
実装方法
- Googleフォームで経費申請を受け付け(日付、金額、カテゴリー、説明など)
- 領収書の画像をGoogleドライブにアップロード
- GASで申請内容をチェックし、承認者にメールで通知
- 承認されたら、経費データを自動集計し、経理システムに反映
- 毎月の経費レポートを自動生成
効果
- 申請・承認プロセスの迅速化
- ペーパーレス化による効率向上
- 経理業務の効率化
- 経費の可視化と分析の容易さ
特に営業担当者など外出の多い社員にとって、スマホから簡単に経費申請できる仕組みは大きな負担軽減になります。
事例8:採用プロセスの効率化

課題
採用活動における応募者の管理、面接のスケジューリング、評価の集計など、多くの手作業が発生している。
解決策
Googleフォームで応募を受け付け、GASとChatGPTを使って選考プロセスを効率化します。
実装方法
- Googleフォームで応募情報を収集
- 応募データをスプレッドシートに蓄積
- ChatGPTで応募書類の初期スクリーニングを支援
- GASで面接候補日のスケジュール調整メールを自動送信
- 面接評価をGoogleフォームで収集し、自動集計
- 採用判断に必要なレポートを自動生成
効果
- 応募者管理の効率化
- 書類選考の高速化・標準化
- 面接スケジュール調整の簡素化
- データに基づいた採用判断の支援
人材採用は中小企業にとって重要かつ負担の大きい業務です。この自動化により、質の高い採用活動を効率的に行えるようになります。
事例9:データ入力・転記作業の自動化

課題
異なるシステム間でのデータ転記や、紙の書類からのデータ入力など、単調で時間のかかる作業が多い。
解決策
GASとAIを組み合わせて、データの自動抽出・変換・入力を行います。
実装方法
- 紙の書類はスキャンしてGoogleドライブに保存
- OCR技術とAIを使って書類からデータを抽出
- GASでデータを適切な形式に変換
- 変換したデータを自動的に目的のシステムやスプレッドシートに入力
- 処理結果を定期的にレポートとして出力
効果
- データ入力時間の大幅削減
- 入力ミスの防止
- 単調作業からの解放
- リアルタイムデータの活用
特に請求書処理や注文処理など、定型的なデータ入力が多い業務に効果的です。
事例10:顧客フォローと情報提供の自動化

課題
定期的な顧客フォローや情報提供が十分にできていない。担当者の記憶や判断に依存しており、一貫性がない。
解決策
人材採用は中小企業にとって重要かつ負担の大きい業務です。この自動化により、質の高い採用活動を効率的に行えるようになります。
ChatGPTの活用でさらに広がる自動化の可能性
上記の事例では、ほとんどの場合にChatGPTなどのAIを活用していましたが、ChatGPTだけでもできる業務改善がたくさんあります。ChatGPT単体で活用できる例を紹介します。
テキスト生成と編集
- 営業用メールやプレゼン資料の作成
- 商品説明文やブログ記事の下書き作成
- 議事録の要約
- 文章校正と改善
データ分析
- 売上データの傾向分析
- 顧客アンケートの分析とインサイト抽出
- 競合分析
- 市場動向の把握
アイデア出し
- 商品開発のアイデア
- マーケティング施策の提案
- 業務改善のヒント
- 問題解決のアプローチ
知識サポート
- 業界の専門知識へのアクセス
- 法律や規制の基本的な解釈
- 技術的な問題解決
- トレーニング資料の作成
ChatGPTの「プラスプラン」は月額2,000円程度で利用できるため、中小企業でも十分に導入可能なコストです。これを活用するだけでも、大幅な業務効率化が実現できます。
自動化導入のステップ
自動化を進めるためには、以下のステップを踏むことをおすすめします。
- 課題の特定: 最も時間がかかっている業務や、単調で繰り返し行う業務を洗い出します。
- 優先順位付け: 自動化の難易度と効果を考慮して、取り組む順番を決めます。
- 小さく始める: まずは小規模な自動化から始め、成功体験を積み重ねます。
- 改善と拡張: 初期の自動化が成功したら、徐々に範囲を広げていきます。
- 社内共有: 自動化の成果を社内で共有し、デジタル化の文化を醸成します。
成功のポイント
自動化を成功させるためのポイントをいくつか紹介します。
1. 現状プロセスの把握
自動化する前に、現在の業務プロセスを明確に理解することが重要です。フローチャートを作成するなど、可視化すると良いでしょう。
2. 段階的な導入
一度にすべてを自動化しようとせず、小さなステップに分けて進めることで、リスクを抑えられます。
3. ユーザーのフィードバック
自動化システムを使う人の意見を積極的に取り入れ、使いやすさを向上させましょう。
4. メンテナンス計画
自動化後も定期的なメンテナンスや更新が必要です。担当者を決めておきましょう。
5. セキュリティ対策
自動化にあたり、情報セキュリティにも配慮が必要です。特に顧客データなど重要情報を扱う場合は注意しましょう。
まとめ:今こそAIと自動化のチャンス
「DX」や「AI活用」と聞くと、大企業の話と思われがちですが、実は中小企業こそAIによる自動化のメリットを享受できる立場にあります。大企業よりも意思決定が早く、柔軟に新しい取り組みを始められるからです。
本記事で紹介した10の自動化事例は、すべて比較的低コストで実現可能です。GoogleのサービスとChatGPTを活用すれば、プログラミングの専門知識がなくても、多くの業務を自動化できます。
一つひとつの自動化は小さな一歩かもしれませんが、それらが積み重なれば大きな変化につながります。今日からできることから始めてみましょう。
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アナリスト兼エンジニア
北村
飲食店専門のホームページ制作会社から
株式会社カンマンへ転職
フロンエンドを専門とし、GA4ツール作成、バックエンドサポートなど多岐に渡る
CM、劇伴、音源制作など音楽サポートも行っている